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だらしなく机に突っ伏した私のグラスを引きながら、「何にする？」と聞かれた。
いつもならこの後は甘くて弱いカクテルを数杯飲みながらお喋りするのだけど、今日はもう、とにかく酔いたかった。
「なんか、甘くて強いやつがいい」
「うーん、フルーツ系？」
「うん、さっぱりしたやつ」
「ん、ちょっと待ってね」
氷とお酒と、オレンジ色のジュースをシェイカーに流し入れてカラカラと振るその人を見て、気になった。
「ねえ、キャンベルさんの恋愛話が聞きたい」
「え、僕？」
「そう、彼女とかいないの？」
私の問いに苦笑いを浮かべながら新しいグラスを置いてくれた彼の目をじっと見つめた。
「うーん、居るように見える？」
「見える」
「ええ…」
「だってかっこいいもん」
そういった途端急に動きをとめたその人を不審に思いながらも、「まさか自覚ないの？」と訪ねてお酒に口をつけた。
スクリュードライバーだ、これは。オレンジの味にアルコールの苦味がほどよくて美味しい。
「いや、Aさんにそんな風に思われてるとは知らなかったから」
「当たり前だよ、10人中10人が褒めるルックスだと思う」
「急に褒められると困るな…あ、もしかしてもう酔っちゃった？」
「はぁ？まだ全然シラフだから」
「そうかな？結構目が据わってきてるけど」
ヤケになる私を煽るように笑ったキャンベルさんに腹が立って、じとりと睨みつける。次はもっと度数高いの頼んでやる…
ムカついたのでまた一気に半分ほど飲み干した。
「で、キャンベルさんの恋人の話は？」
「…さすがに忘れてはくれないよね」
「ばかにしすぎだから」
渋々といった口調で彼は、
「好きな人ならいるよ」
と言った。
「え！どんな人ですか？かわいい？」
「そう、だね…かわいい人だよ」
照れながら少し顔を隠すキャンベルさん、とってもかわいい。庇護欲というか、応援したくなるような。
「でもそのひとは僕のことを話し相手としか思っていないんだ、きっと」
「だとしても！キャンベルさんなら上手く行くよ絶対、私が保証する！」
「へえ、保証してくれるの？」
「もちろん！だから頑張って！」
「ふふ、ありがとう。あ、もうグラスが空だね。あとは水にしておく？」
また煽るような聞き方。私は挑発に乗りやすいらしく、
「まだ全然余裕なので、ルシアンつくって」
ほんとは割と酔ってるけど、今日頼んだ酒のどれよりも度数の高いものを注文した。
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33円の民 - 文才の塊ですか？とても素敵な作品ありがとうございます。 (2021年12月20日 21時) (
レス) @page10 id: a4e0508ccb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん - やだ皆だいしゅき。作者様に感謝感激雨あられ…！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - アネモネさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！ハマリたてのジャンルなので拙い部分も多いですが、よろしくお願い致します！ (2020年1月6日 14時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 星押そうとしたら既に投票済みって出てきて辛い...めちゃくちゃ尊かったです... (2020年1月6日 12時) (レス) id: f6f59e365f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年1月5日 0時
