酒色に惑溺*探鉱者 ページ11
※現パロ、捏造100%
・
カランカラン
開け慣れたドアに聞き慣れたベルの音。ヒールを鳴らして中へ入れば、見慣れた店内。
「いらっしゃいませ」
と。こちらを見て微笑んだのはここのバーテンダーであるキャンベルさんだ。
カッターシャツにサスペンダー。捲った袖は、顔の良い彼にとてもよく似合っている。
「浮かない顔だね、また振られた？」
「……はぁ〜…聞いてくれます？」
「もちろん聞くよ、いつものでいいかな」
唐突だが、私は男運が悪い。悪いというかもはや無い。本当にそれくらい、恋愛に恵まれない人生を送ってきた。
彼氏が出来ないわけじゃない。出来ないわけではないが、これまでに付き合った男ども全員…こう言ってはなんだが、腹黒いクソ野郎だった。
それで揉めたり、浮気されたり、振られたり振ったり。
そうやって私の恋愛が破局を迎える度に彼には愚痴を聞いてもらっていて、すっかり私はここの常連客と化していた。
この人はとにかく聞き上手で、惚気に来ることなんかも何度かあった。
そして、聞き上手なだけではなくて。酔わせるのも上手い。ここに来た日はいつも気持ちよく酔って帰宅できるのだ。
「それで？今回はどうしたの」
「あの男ね、恋愛詐欺師だったの」
「ふっ、ははは、Aさんてほんとツイてないね」
口元に手を当てて笑うそのひとはいつも通りで、ひとしきり笑うと私の座るカウンターテーブルにグラスを置いてくれた。
私がいつも最初に頼むのはソルティドッグと決まっている。
「それでね、事故に遭ったからお金貸してほしいって言われたの。しかもメールで！」
「へぇ、何円？」
「20万だって言うから、お見舞いのついでに渡そうと思って」
「え、貸すつもりだったの？」
「だって好きだったんだもん！それでね、お金下ろしに銀行行く途中に、ショートボブの女と彼が腕組んで歩いてたの」
話し終えて、耐えきれなくなった私は、ついさっき出された酒を一気に煽った。レディキラーとも呼ばれるこの酒、飲みやすくて酔いやすいのだ。
グラスのふちに塩をまぶしたスノースタイルのそれは、程よく私の頭をほぐしてくれた。
「あー…それは辛いね…」
「それでさっき振ってきてやったんですよ…うぅ……男欲しい…」
「ふふ、お疲れ様。…あー、ほら泣かないで。もう一杯飲む？」
「のむ……」
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33円の民 - 文才の塊ですか？とても素敵な作品ありがとうございます。 (2021年12月20日 21時) (
レス) @page10 id: a4e0508ccb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん - やだ皆だいしゅき。作者様に感謝感激雨あられ…！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - アネモネさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！ハマリたてのジャンルなので拙い部分も多いですが、よろしくお願い致します！ (2020年1月6日 14時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 星押そうとしたら既に投票済みって出てきて辛い...めちゃくちゃ尊かったです... (2020年1月6日 12時) (レス) id: f6f59e365f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年1月5日 0時
