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心配……？なんの話だろうか。体調とか？
「なんの心配をしてるの？私は元気だから大丈夫だよ」
「そうじゃなくて」
そうじゃなくて、なんなんだろう。彼の言葉に耳を傾け続けていれば、「こんなこと言うのは醜いし、嫌われるかもしれないけれど」と前置きをしてから耳元でぽつりと
「…君が、他の男のところに行っちゃうんじゃないかって、不安になって」
「な、んで？」
想定外の答えと耳にかかる息がどんどん頭を鈍くしていく。目が回りそうな恥ずかしさの中で、発した声はちぎれそうなくらい細かった。
ぎゅう、と抱きしめる力が強くなった気がした。
くるしい。緊張で詰まる息もあいまって。
「さっき、中庭でイライさんと仲良さげにしてたから」
「う、ん…？見てたんだ」
つまり、嫉妬だろうか。私がイライさんとおしゃべりしているのを見掛けて、妬いてくれたんだろうか。
だとしたら、その、すごく
嬉しい。
「ねえ、それって嫉妬？」
「……そうだよ」
不服そうな声色がなんだか可愛くて、幸せな気持ちになる。
頬が緩むのを抑えきれなくて、隠す努力もしないままで彼を見上げた。
「可愛いところあるよね」
「…不本意だな、可愛いなんて」
ずいぶんとしおらしくしているその人を見て、調子に乗ってしまう。怒るだろうな、と頭の片隅ではわかっていたけど口は止まってくれなかった。
「実はね、イライさんのこと少し気になってるの」
(なんてのは嘘だけど。)
どんな反応をしてくれるかな。少しワクワクしながら返答を待っていれば
「ふぅん」
と、今日いちばんの低い声。
「ねぇ、君は誰の恋人なの？」
「今更そんなこと聞くの？」
そう、今更。今更改まって「あなたの恋人です」だなんて気恥ずかしくて言えやしない。
「答えてよ」
「…やだ」
「そんなにイライさんが好き？」
「そうじゃなくて」
「…そうじゃないんだ？へぇ、じゃあ誰のことが好きなの？」
…こいつ、そんなに言わせたいのか。
さっき、嫉妬してくれたことに喜んでしまったから。緩みまくる頬を隠さずに彼を見上げてしまったから、「イライさんが気になる」のは嘘だってバレてるんだ。きっと。
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33円の民 - 文才の塊ですか？とても素敵な作品ありがとうございます。 (2021年12月20日 21時) (
レス) @page10 id: a4e0508ccb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん - やだ皆だいしゅき。作者様に感謝感激雨あられ…！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - アネモネさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！ハマリたてのジャンルなので拙い部分も多いですが、よろしくお願い致します！ (2020年1月6日 14時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 星押そうとしたら既に投票済みって出てきて辛い...めちゃくちゃ尊かったです... (2020年1月6日 12時) (レス) id: f6f59e365f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年1月5日 0時
