言わせたい*探鉱者 ページ1
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手元のふわふわ。もといイライさんの相棒の梟。たまたま中庭で会ったので、癒しを供給してもらっているのである。
「はぁ〜…ほんと可愛いなぁ…」
「ふふ、楽しそうでよかった」
スリスリと私に身を寄せてくるゲキウはきっと賢い。こんなにも庇護欲を煽る甘え方をしてくるなんて、さては自分の可愛さをわかってるな？
生き物のあたたかさと日差しのぬくさと、幸せな要素が沢山。大変ご満悦の私だったが、唐突にびゅうと吹いた風に髪を乱されて少し気落ちした。
「強い風だね、髪がぐちゃぐちゃだ」
優しく微笑んで呟くように言ったイライさんは、さらりと髪を整えてくれた。
「ありがとう。風が強くて冷えてきそうだしそろそろ部屋に戻ろうかな」
「僕もそうするよ。じゃあまた夕食で。」
・
夕食まではまだ数時間あるので、自室で読書をしていれば少し控えめなノックの音。
「僕だけど、居る？」
ノートンの声だった。訪ねてきてくれた事が嬉しくて、いそいでドアを開けた。立っていたのは愛しい恋人のその人。
「急にどうしたの？」
「会いたくなったから」
「それだけ？」
「嫌だった？」
嫌なわけないのに、わざわざ聞いて言わせたいのか。大きく首を横に振って「嬉しい！」と答えたあとで。
彼の纏う空気がいつもと少し違うことに気がついた。
自然な仕草で部屋の中へ入ってきたその人は、後ろ手に。カチャリ
それは鍵をかけた音だった。
「なんで鍵なんか掛けるの？」
「邪魔されたくないから」
「ふーん、まあいいや！あ、ねえこれ見…」
「A」
低い声だった。いつもより数段。
諭すような色も含んで、じっとこちらを見つめてくる彼はやっぱり少しおかしい気がする。
「……本当はどうしたの？会いに来ただけじゃなさそうだけど」
「抱きしめてもいい？」
「え、急だね！？いいけど、」
言いきらないうちに後ろに回った手に引き寄せられるように、彼の腕に収まる。
深く呼吸をすれば大好きな匂いが鼻腔を満たした。耳元でノートンが大きく息を吐いたのが聞こえて、色っぽいその音に途端に恥ずかしくなる。
「ノートン、ほんとにどうしたの？」
なんて、照れを誤魔化すように発した言葉は羞恥に震えていて情けなかった。
私の問いに対して一言、彼が言ったのは
「心配になったんだ。」
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33円の民 - 文才の塊ですか？とても素敵な作品ありがとうございます。 (2021年12月20日 21時) (
レス) @page10 id: a4e0508ccb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん - やだ皆だいしゅき。作者様に感謝感激雨あられ…！ (2020年2月26日 20時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - アネモネさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！ハマリたてのジャンルなので拙い部分も多いですが、よろしくお願い致します！ (2020年1月6日 14時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 星押そうとしたら既に投票済みって出てきて辛い...めちゃくちゃ尊かったです... (2020年1月6日 12時) (レス) id: f6f59e365f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年1月5日 0時
