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私はいきなり接吻をされて目を見開いた。
すぐに状況が理解できた訳ではなく、数秒後、やっとのことでわかった。
これは口移し、と呼ばれる行為だ。
私は抵抗しなかった。素直に口を開けてそれを受け入れる。少しぬるくなった液体が流れ込んでくる。思わず目を細め、生理的な涙がじわりとうかぶ。頬は沸かしたてのお湯のように熱いし、心臓の音がばかみたいに
それでも瞼を閉じきってしまうことはせず、彼の綺麗な顔を至近距離で見ていた。
少し目が伏せられていて、長い
本当に、綺麗。
やがて流れ込む液体が無くなり、つぅ、と糸を引きながら唇は離れた。
「は、はっ、…ぁ、…なにを、」
肩で息をする私の隣で平然とこちらを見るその人を見上げる。息が苦しい、眉に力が入る。
「喉はうるおっただろう？」
「…はい」
そう言うとまたふふ、と微笑んだその顔に目が釘付けになってしまう。エンジンをかけながらこちらに手を伸ばしてきて頭を撫でられると、何もかもどうでもよくなってしまいそうだ。
私たちはまた世間話を始めた。ホテルまで少し距離があるらしい。三十分程度、とのことだ。
「そこでなのだけどね、ホテルにつくまでの間これ付けててよ」
「え、なんですか、ソレ。」
「気持ちよくなれる玩具。昨日買ったヤツだよ。」
と、ピンク色の小さいソレを差し出してきた。
「なんて、本当は知っていただろう？料金には色をつけるよ、どうする？」
先日与えられた快感の記憶がまだなにもされていないそこをくすぐる。ぎゅ、と服の裾を握って、気がつけば言っていた。
「…します」
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作者名：こめこ | 作成日時：2018年4月28日 22時
