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やっぱりシャワーって不思議だ。寝惚けていたのもすぐに覚めてしまったし、思考がどうしても早く回る。
私、昨日、あの格好いい人としたんだ。
朝起きてすぐにそう思うほど、昨晩の行為は私の頭を占拠していた。今まで何度も囁かれた言葉も、何故か太宰さんがいうと凄くぴりぴりと痺れるし、なにより行為が上手かった。
今まで私が、
こうすればいいんでしょ、とか。
ここがいいんでしょ?、とか。
こう言えばいいんだよね、とか。
そういう、学んで来たことが一切通用しなくて、とてつもなく緊張した。
演じていたはずの
湯船に浸かりもう一度色んなことを思い出す。
このお湯も、私が入りたいと言い出すことを見越して張っておいてくれたのだろうか。
また会いたいと、強く思った。
確かに昨日は飛ぶほど強い快感に溺れそうだったし、つらいと思うことも何度もあった。
私から見て太宰さんは、とても魅力的だった。
太宰さんから見た私は、どう映っただろう?
連絡先、交換できるかな。
…そろそろ上がらないと。立ち上がった。このバスルームも見納めだ。と少しの寂しさを感じながら昨日の服に着替えた。流石に下着は気持ち悪いので捨てた。いつも捨てて、新しく買っている。
沢山貰えたお金で少し贅沢したいな、と願望を
「おかえり、湯加減はどうだった?」
「とても良かったです!」
「それはよかった。」
「ありがとうございました。」
「ねぇ、嫌じゃなければだけど、連絡先を教えてくれないかい?」
驚いた。向こうから言ってくれるとは思っていなかった。
「え、いいんですか?私も、丁度迷っていたところなので嬉しいです!」
言いながら私は、援 交のために自分で買ったスマートフォンの番号を教えた。
「お金、なくなったらまた連絡してね。」
と手を振りながら去っていく彼の背中が見えなくなるまで目が離せず、見送った。
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時