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敦達二人は、横浜の一等地にそびえ立つ、ポートマフィア本部ビルへ向かっていた。敦と芥川が見据えているものは、計り知れない、この世の深淵か、それとも、見えぬ敵への怒りか、その心中は誰にも解らない。
ポートマフィア本部ビルはそれはそれはとても大きく、ヨコハマ一の高さを誇る楼閣だ。
だが、二人にその楼閣は悪魔の籠城に見えている。
ヨコハマの悪の全ての根源。
二人はそう定義していた。
楼閣の入り口の近くに鏡花が小さく立っていた。
敦はその姿を認めると鏡花の方に走った。芥川もこっちの方を涼しい目で見ている。だが、その中には安堵の色。
「心配、した。怖かった」
鏡花がぽつりとこぼす。
「もう大丈夫だよ。鏡花ちゃん。僕は絶対に君を闇の世界にもう二度と戻さない」
鏡花が小さく頷いた。
「探偵社に戻るか」
芥川が歩き出す。
芥川は、気づいたように言った。
「彼奴等は僕等を殺せば事足りる筈…」
その声は誰に発せられたのかも判らないままヨコハマの夕焼けの渇いた空気の中に溶け消えていった。
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珀秋そら(プロフ) - 感想正座待機でお待ちしておりますべ (2022年8月9日 18時) (
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作者名：空白時 | 作成日時：2021年7月9日 13時
