期末前の日常風景 ２ ページ17
*
僕は立ち上がって、キッチンに向かった。
もう何度もここに来てるから、自分の家よりどこに何があるかわかってる。
でも、二人には困ったなぁ。試験まで二週間しかないのに大丈夫かな。
数学になると、どうしてもこういう言い争いになっちゃうんだよね。
上杉が熱心すぎるのか、アーヤの苦手意識が招いた結果なのか…どちらとも言い難いんだよなぁ。
白熱するのはお互い遠慮し合わなくなった証拠ではあるんだけど、ちょっといきすぎるのも心配だよ。
「休憩しない？」
温かいお茶を持って二人のところに戻ると、険悪な空気が一瞬和らいだ。
うん。やっぱり休憩って大切だよね。
上杉と僕は珈琲、アーヤは紅茶。
お茶菓子は次の休憩の時に出そう。
「一息入れようよ」
「…だな」
「ありがとう、小塚くん」
二人が僕を見てほっと息をついてくれた。
「アーヤ、今回の範囲手こずってるみたいだね」
前回の比例は完璧に理解できて、反比例はどうにかわかったって言ってた。
僕も反比例はちょっと苦手だったから、アーヤと一緒に上杉に怒られてたっけ。
今回の円周や面積や体積の問題、僕は学校や秀明の授業でスムーズに理解できた。でもアーヤは、理解する前に授業が進んじゃったっていういつものパターンだったのかな。
「ちょっと躓きそうだったら、早めに訊けばよかったのに」
「そうなんだけど…もう少しでわかりそうだったから」
学校と秀明の授業でできる限り頑張ろうとするのは、努力家のアーヤらしいけど。
「上杉は頼ってほしいんだよ。
アーヤが一人で頑張りすぎてるの、いつも心配してるんだから」
僕が明かした言葉に、上杉はカチンと固まり、アーヤは意外そうな顔をした。
「え…そうなの？」
「そうだよ。
だからさっきあんなに怒って…」
「小塚！」
ムッと怒った上杉の眼鏡の奥は、ほんのり赤い。
もう少し、バラしちゃってもいいかな。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハナ(プロフ) - 面白いです!とっても面白いです!!パスワードは出来れば全て解除して欲しいです。これからも沢山沢山作品書いてください!!!楽しみに待ってます! (2020年3月4日 12時) (
レス) id: 15d87cdcea (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こまさんの作品、どれもすごくいいですね。ところで最後に書いてあった「真実の気持ち」の続編をぜひ書いてください！！(それとも、もうあるんですかね…？)いつもこまさんの作品を楽しみにしているので、これからもぜひ続けてください。 (2019年8月7日 17時) (レス) id: 6a44c88143 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - こまさん» いえ。それなら私で良ければ愚痴聞きますよ！こうゆうの慣れてますし。 (2019年4月6日 6時) (レス) id: 3a49a3167f (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - yurikaさん» ありがとうございます(≧▽≦) (2019年4月6日 1時) (レス) id: 49dba501f0 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 彩さん» す、すみません。いつもながらかなり落ち込みました。学びません…こういうの本当に苦手。ここを逃げ場にしてしまいました。落ち着いたら書きますね (2019年4月6日 1時) (レス) id: 49dba501f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こま
| 作成日時：2018年2月19日 23時
