１０ 彩 ページ10
*
「上杉、ストップ」
「「「！！！」」」
三人の女子がビクッと飛び上りそうになり、慌てて向けた視線の先には、私もよく見知っている人の姿があった。
「黒木君…」
「……」
「君たちはその場を動かないように。
素行は既に撮られているけど、問題を大きくしたくはないだろう？」
秀明の防犯カメラを親指で指しながら、私たちの元に近づいてくる黒木君。
「もう大丈夫だから、上杉はアーヤを離してあげなよ」
「！」
黒木君の声に、上杉君は慌てて私を包んでいた腕の力を解いた。
「わ、悪い…」
「ううん。
…あの、助けてくれて、ありがとう…」
とにかくすぐにお礼を言ったけど、でも…。
………。
は、恥ずかしくて、上杉君の顔が見られないよーっ。
「…さて。
どうするべきかな」
黒木君はゆっくりと彼女たちに視線を向けた。
「君たちの名前、…高杉さんと、萱野さんと、吉原さん、だよね？」
名前を呼ばれると、途端に彼女たちの眼が輝きだす。
「わ、私の名前…！」
「黒木君、私たちのこと知ってくれてるの？」
「もちろん」
黒木君がにっこり微笑んだまま頷くと、彼女たちは手を取り合って喜びあった。
「嘘？
チョー嬉しい〜」
「私の名前も知っててくれたなんて〜♪」
周辺の空気が一転して温度を上下させる。
燥ぐ彼女たちとは真逆に、上杉君は溜息を吐いた。
「あーあ。
マジで怒らせたな」
ぼそりと呟いた言葉の意味は、背筋から感じた冷気で私も悟ってしまった。
恐る恐る見遣った視線の先に、並外れて緊迫したオーラが漂っている。
こ、これ…。
眼を擦って見つめ直しても、やっぱり感じる。
黒木君の笑顔の奥に、強い炎を。
*
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (
レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです！！！ (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します！！ (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こま
| 作成日時：2016年5月10日 15時
