8 彩 ページ8
*
「あ、あなた…たちが、許さないなんて言うことの方が間違ってると思う」
私の言葉に、三人の視線が更に鋭くなる。
でも、負けない。
彼女たちの言い分を、聞き流すことは私にはできないから。
「上杉君が誰と付き合うのか、それを決めるのは上杉君の権利だよ!
誰かの許しを貰うようなことじゃないでしょ!」
身勝手な噂。
無責任な冷やかし。
そんなの、許せない。
マイナスの言葉ばかりで、上杉君を貶さないで。
「上杉君が誰とつきあっていても、あなたたちにこそ関係のないことでしょう。
つきあってるかは知らないけど、東条さんのことなら、私はあなたたちよりよく知ってる。
彼女は、すごくいい子だよ。
少なくとも、東条さんはこんな形で上杉君に嫌がらせをしない。
あなたたちの勝手な解釈で、東条さんを巻き込まないで。
上杉君のこと酷く言わないでよっ」
もし上杉君が北原美麗を振って他の誰かと付き合っていたとしても、東条渚はその相手に敵意をぶつけたりしない。
あの事件の時は美麗の意識が無かったから、彼女の身を案じて単身で秀明に乗り込んできただけ。形振り構わず上杉君を追い詰めようとしたことだって、美麗を想ったための行動だった。
東条さんは、今眼の前にいる彼女たちとは違う。
それに何より上杉君だって、誰かに何かを言われるような人じゃないんだから…!
「何よ?
酷いことって、何なのよ?」
「その言葉だと、まるで私たちが上杉君に嫌がらせしてるみたいじゃない!」
「生意気!」
三人が一気に私へと向かってくる。
一人の手が思い切り振り上げられて、咄嗟に眼をぎゅっと瞑る。
痛みを覚悟した瞬間、私の身体は突然背後に引っ張られた。
そして、強い力で抱きしめられたの。
え…?
なに?
どうしたの…?
眼を開けると同時に、パァンと乾いた音が響き渡った。
「上杉く…!」
!
*
91人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時