40 和典 ページ40
*
俺と並んで立たせることで、立花と正面から向き合う。
片手は立花の手を掴んだまま、もう片方の手の指を立花の頬に添えた。
立花のチョコレート色の瞳が、月明かりを映して、キラキラ輝いてる。
…綺麗だな。
このままずっと、見ていたいとか思うほど。
「立花」
「…は、はい!」
そんな緊張するなよって、言ってやりたいけど無理だ。
立花が、俺を意識してる。男として。
それが、すげー嬉しい。
…いいよな?
もう、この気持ち全部、伝えても…。
「俺、今から、…立花にキスする。
事故じゃなく、俺の意思で」
「!」
立花の身体がカチンと硬直した。
けど、すぐにおろおろと動揺した声で、俺に問いかけてくる。
「き、キスって、どうして…?」
「わかりやすいだろ。
絶対嫌だって思ったら、突き飛ばせばいい」
立花は正直な奴だ。
すぐ顔に出るし、自覚するより早く体が反応する。
俺のことが嫌と思ったら、無意識に逃げたくなるはずだ。
「強くは掴まえてねーよ。
支えてるだけだ」
触れた手と、頬から伝わる立花の体温は、俺より少し低く感じる。
「そ、んな…、で、でも…」
う…ヤベ。
そんな可愛い顔、今するなよ。
この反応だけでも、かなり限界なんだぜ。
「俺がキス以上の暴走しそうになったら、防犯グッズ使えよ。
ボタン押せば、あいつらがすぐ駆けつけてくれんじゃねーの?」
「え…、それは、ちょっと……、…」
本音とからかい交じりに言えば、立花はおたおたと瞳を彷徨わせた。
戸惑う立花がまた可愛くて、もっとからかいたいって気持ちが込み上がってくる。
けど、コレ上は俺の理性が完全無理。
今はとにかく、俺の気持ちの全部を、立花に伝えてやりたい。
「……好きだ」
この言葉以上の手段で、告ってやりたい。
いっそ、この頭の中を覗かせてやりてーよ。
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時