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*
え、っと…、………???
ハトが豆鉄砲を食うって、こういうことを言うのかな?
耳に届いた言葉は、私にとって馴染みのない無縁だったもの。
フラれてるって、何のこと?
まさか、私が上杉君を振ったってこと?
「みっともねーだけだってわかってる。
けど、やっぱ立花が好きだから。
すぐには諦められねーし、まだ諦めたくもねー」
「………」
「だからって、しつこく告ったりしねーし、迷惑かけるようなことにならねーよう周りに気も配る。
立花が嫌がることもしねーって約束する。
だから、もうしばらく立花を好きでいさせてほしい」
「……………………」
眼の前で、何かが弾けた。
突然周囲が明るくなって、胸の奥が熱くなっていく。
聞いた言葉を必死で理解しようとするのに、頭がぼやけてはっきりしない。
上杉君が、私を?
本当に、私のことを…?
「…す、好きって、私を…?」
声を奮わせて問い直すと、上杉君が神妙な顔つきで私を見た。
あ、あれ?
やっぱり、私の聞き間違いだった…?
「…おい、待てよ。
まさかとは思うけど、…俺がつきあってくれって言ったの、信じてなかったわけじゃねーよな?」
つ、つきあってくれなんて、言わなかったじゃない!
彼女にならないかっていう聞き方で、それも私のためにそうしてくれたみたいな言葉だと思って…。
もしかしたらその前に、上杉君が私を庇って言った言葉だったって聞いてたからそう勘違いしちゃったのかもしれないけど、でも…。
「あ、あれは…、…責任を取ろうとしてくれてただけかと思って…」
「責任?」
「き、キス、の…。
ああいうのは、つきあってからするものって言ってたから、上杉君は私に償おうとしてくれてるだけなのかと…」
「…………」
上杉君が、見てわかるほど唖然となった。
それから大きく溜息を吐いて項垂れている。
え、えっと………。
「おまえ、鈍すぎ。
いくら悪かったって思ってても、俺が好きでもない女を彼女にしたいなんて望むわけないだろ」
「……だって…」
そうとしか、考えられなかったんだもの。
私は仲間として認めてもらえても、上杉君に好きになってもらえるような女の子じゃないと思っていたから。
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時