4 彩 ページ4
*
『上杉君、彼女いたんじゃなかったの?
どうなっちゃったの?』
『わかんないよ。
でもさぁ…ちょっと幻滅しない?』
『言えるぅ。
モデルクラスの彼女が相手だから仕方ないって思ってたのに、同じ年の女子に声掛けるとか。
普通じゃん、って言ってやりたいよ』
『案外気が多かったのかな?
上杉君、硬派だから好きだったのに』
また勝手な噂話が耳に入って、私を苛立たせる。
そうじゃない。そういうことじゃない。
何度も否定したいけど、私には何も言えない。
だって、『それじゃあ何で?』なんて聞き返されたら、困るもの。
上杉君はKZの仲間で、あの日はただ贖罪の気持ちで私と接触しようとしてくれただけ。
でもそんな説明は、きっと彼女たちの求めるものじゃない。
私が上杉君をどう想っているか。
…それも、きっと求められていない。
『それにしてもよくやるよねー。
あんな十人並の子がさー』
『自分が上杉君につり合うと思ってるのかなー?』
ムカ。
そんなの、あなたたちに言われたくなーい!
……。
いいの。わかってる。
私が上杉君をどう想っていても、それは彼女たちの関心にはならない。
彼女たちが知りたいのは、上杉君が本当に好きな人のことだけ。
でも、それ、本当に知りたいの?
私は…正直に言えば、知りたくない。
だって夢の中であやふやだったあの女の子が、具体的な姿になるなんて、イヤだもの。
「……はぁー…」
早く授業が始まらないかな…。
私は溜息を吐きながら、明日の秀明は始業ギリギリの時間に来ようと考えていた。
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時