２９ 和典 ページ29
*
「…上杉」
！
黒木に呼ばれて、ハッとなって意識を現実に戻す。
ヤベ。一瞬、周りへの警戒も解いちまってた。
誰かが近くに迫ってきてる気配は、…今は無さそうだな。
ふぅー…。
一度大きく息を吐く。
気を取り直したところで、立花を挟んで左側を歩いていた黒木に視線を向ける。
「どうした？」
「噂の真相、訊いてもいいか？」
？
「何の話だよ？」
「裏サイトに書いてあっただろ。
おまえがどこかのモデルとか、東条渚とかとつきあってるって話」
「……」
黒木の言葉に、無意識に眉間の皺が寄った。
名前呼ばれた時、誰かの気配を黒木の鋭い勘が察知したのかと思って焦ったのに、そんなコトかよ。
「…それ、マジで訊いてんのか？」
「上杉本人の言葉を聞いておきたいと思っただけだよ」
「……」
はぁーっと、大きな溜息を吐く。
こいつ、絶対わかってるだろ。
「一度聞いて、有り得ねーだろって言った。
それから俺の耳には入ってこねーよ」
そう言うと、立花がいきなり俺の方に顔を向けた。
スゲー驚いた顔してて、何でそんな反応なのかわかんねー。
俺、何かおかしいこと言ったか？
「だろうな」
黒木の方は一言でばっさり終わりやがったし。
やっぱり、わかってたんじゃねーか。
「一々訊かなくてもいーだろ、そんなこと」
適当に言い返した俺の言葉が、黒木の怒りに触れた。
「上杉から聞きたいって言ったのは、自分の噂にどの程度関心を持って、どこまで止めようとしたのか知りたかったからだ。
上杉が一度でも否定したことを、上杉の周りにいる奴らなら訊き返さない。
それは、上杉の性格を多少なりとも知っているからだ。
でも、ファンだっていう女の子たちは、上杉の話を聞かないまま偶像の世界に留め続けている。
俺の言っている言葉の意味は、わかるよな？
中途半端な火消しは、余計な大火事になるんだぜ」
「……」
*
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (
レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです！！！ (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します！！ (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こま
| 作成日時：2016年5月10日 15時
