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21 彩 ページ21

*


 秀明の授業が終わって、急いで教室を出る。

 黒木君から逃げるのはきっと無理だし、遅くに出て行ったって皆から注目されるのは変わらない。むしろ、見物人が増え続けるだけ。

 覚悟を決めて出口に向かうと、小塚君と出逢った。





「アーヤ」


「小塚君、どうしたの?」


「伝言と案内役。

 僕が一番目立たないから」





 いつものおっとりした笑顔で言われて、私もちょっと緊張を解いた。

 シャリの小塚君だって充分目立つし、今も何人かの人がこっちを見てるけど、KZメンバー全員が集まっていた時ほどではない。

 それに何より、小塚君は小学生の頃から癒し系でホッとするんだ。





「黒木たちと待ち合わせてるんだ。

 ついて来て」





 小塚君は、私を商店街がある雑踏の方に導いた。

 居酒屋さんもあるせいか、酔っぱらった人達がたくさん駅からこの道を利用している。





「この道を通るの?

 裏道の方が、安全じゃない?」


「裏道は人が少ない分、危険も潜んでる。

 こっちの方が安全だよ」


「でも…」





 未成年が堂々と歩くことを憚られるような状況に戸惑っていた私に、小塚君は理由も含めて話してくれた。





「今日だけじゃなく、今後しばらくアーヤにはこのルートで帰宅して欲しいんだ。

 秀明から家まで少し遠回りになるけど、この道は警察の監視カメラが多く設置されているから」


「そ、そこまで深刻に危険回避する必要あるの?」


「まだわからないけど、今はアーヤの安全を第一に考えて行動してほしい」


「……」





 小塚君の言葉を聞きながら、私は昨日の若武の言葉を思い出した。

 皆が私を好きでいてくれて、私も皆を好き。信用している。

 昨日のKZの集合に欠席したから詳しい話は聞いていないけど、上杉君の周辺で何か事件が起きてることは推測できる。

 ストーカー事件? どのくらい調査が進んでるんだろう…?

 今日、彼女たちがしたことを聞いただけでも、私は怖くなった。

 もし自分の行動を見られていて、それをサイトに書きこまれていたら…。

 想像しただけで、背筋がゾクッとする。





「…わかった」





 納得とまではしていないけど、頷いた。



*

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設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , 上杉×アーヤ   
作品ジャンル:恋愛
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時

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