20 和典 ページ20
*
どれだけ殴られようと、離すつもりはなかった。
絶対俺が護るって決めてたから。
でも実際あの場を納めたのは黒木で、俺がしたことといえば、立花に向かっていた恨みを増長させて脅した程度に過ぎない。
ガキだな、ホント。紙の上の計算が早くても、人がどう動くか予測できねーんじゃ、しょーがねーよ。
ヴヴ…ヴ……
マナーにしてたスマホが、メールの着信を知らせる。
黒木…だろうな、このタイミングなら。
講師の眼を盗み、授業に隠れてメールを開く。
相手は予測通りで、秀明が終わる時間までに戻れないことと、俺に黒木の荷物を持って、駅南口バスターミナルB地点に来るよう頼む言葉があった。
立花の迎えは、小塚に頼んだらしい。
そこまではわかったけど、何でその後に『ごめん』ってあるんだ?
俺が一人で立花を待って、一緒に秀明を出たら、また不要な注目と関心を集めることくらいわかっるって。
謝られたことで、俺の頭の中のことまで予測されてる気がしてムッとした。
別に、立花と二人でいたいとか、今はそういう浮ついたことは考えてねーよ。
俺だって、きちんと考えてるんだ。
立花が大切だからこそ、覚悟を決めなければならないことも、わかってる。
一番いい解決法。
「………」
一際深く、息を吐く。
こうすることが、今まで俺を取り巻いてきたものすべてへの返礼。
助けてくれた仲間と。
初めて好きになった立花。
どう思われても構わない。
それでも、俺の選択は逃げるためのものじゃない。
だからこそ、受け入れる。
受け入れることが、最善に繋がるんだ。
この『乖離』こそが……。
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時