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17 彩 ページ17

*


「…けど、若武はそう簡単に操れねーぜ。

 難しいコースでも絶妙に決めるし」


「だから、気分いいんだろ」


「それ、あいつには絶対言うなよ」





 上杉君がボソッと呟いたから、思わず笑っちゃった。

 いつも口を開くと喧嘩することが多いけど、本当は信頼し合ってるんだよね。

 男の子っていいなぁ。





「アーヤも、今度試合見に来ない?

 アーヤが来るって日は絶対、俺もレギュラーで出るから」





 黒木君に誘われて、即答で『見たい!』って思ったけど、返事は曖昧に濁さざるを得なかった。





「う、うん…。

 行けたら…」





 …いいだろうけど、たぶん無理だよね。

 KZの試合の日は、練習より多くの観客が当然見に来る。

 いくら黒木君に誘ってもらったからって、さすがにKZファンの女子が大勢集まっている場所に行く勇気はない。

 だって私、やっぱり人から注目されるのが苦手なんだもの。

 黒木君も上杉君も平気だなんて、すごいなぁ。

 若武に至っては、私とは真逆に注目を浴びたがるんだよね。

 羨ましいわけじゃないけど、私も少しは、周囲の視線に怯えないようになりたいな…。





「おい、そろそろ時間だぞ」





 上杉君が時計をかざして見せてくれた。

 大変。休み時間、あと一分しかない。





「アーヤ。

 今日はまだ危険だから、一緒に帰ろう。

 出口で待ってるから、先に一人で帰らないで」





 教室まで戻る途中にそう言われたけど、私の頭の中にはまた、不用意に注目を浴びる姿が思い浮かんでしまった。





「え、い、いいよ。

 私は大丈…」


「大丈夫じゃねーから言ってんだろ」





 う、上杉君まで…。

 更に黒木君が、優雅な笑みを浮かべてとどめを放つ。





「逃げようとしても、無駄だよ。

 俺たちからは、逃げられない」


「!」





 有無を言わせない圧倒的な威圧感。

 笑顔だからこそ怖い人がいることを、私は今日身をもって知ってしまった。






*

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設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , 上杉×アーヤ   
作品ジャンル:恋愛
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ooooooooo - 感動しかないわ!!!!! (2022年2月20日 22時) (レス) @page45 id: 5ba6c307c9 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - 言葉では、伝えられないくらい感動しました。軽い気持ちで、読むつもりだったんですが物凄く夢中になりました。とっても面白かったです!!! (2021年8月24日 15時) (レス) id: 77a3f18b6f (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - やっぱり、上彩サイコー!最後めっちゃ照れました!こま☆さんのこと、いつまでも応援しています!!! (2020年9月7日 19時) (レス) id: 8d0e213ce6 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 本当の小説として、本になってほしい!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 331ddf8f4c (このIDを非表示/違反報告)
Mayu - 上彩大好き上杉君推しにはありがたいです。これからも頑張ってください応援します!! (2019年6月9日 23時) (レス) id: c3d92851e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こま | 作成日時:2016年5月10日 15時

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