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 秀明に向かう途中、前方に見知った後ろ姿を見つけた。

 アーヤだ。

 茶色の綺麗な髪を風に靡かせ、リュックを肩に背負い、やや頼りなさそうに歩いている。

 視界に彼女を咎めた瞬間、俺は無意識に笑みが零れた。



 実はこうして彼女を見かけたのは、初めてのことじゃない。

 前に見かけた時も、彼女は一人でこの道を歩いていた。その前の時も、それ以前も。

 俺は歩行速度を上げ、彼女との距離を少しずつ縮めていく。

 だが十メートルほど離れた場所まで近づいたところで、スピードを緩めた。

 アーヤは目立つことが殊更苦手で、人目がある場所で俺たちKZのメンバーと話すことを避けている。

 つまりKZの用件や、彼女からの悩みを悟った時以外、俺からアーヤに話しかけることはできない。

 だからこうして一定の距離を保ったまま、まるで知らない人物を装う。おかしな話だが、事実だ。

 気づいているのに声を掛けられず、黙って後ろを歩いていく。一見変質者と勘違いされそうだが、これに関して言えば、俺だけに限られた行動じゃない。

 通塾中にアーヤを見かけながらも声を掛けられなかった奴が、俺以外にも確実にいるからだ。

 この道は駅や開成からの通塾路でもあり、上杉や小塚と何度か一緒に歩いていたことがある。

 浜田から直接秀明に向かう美門も、この道を通っている。

 けれど、その先にアーヤを見つけても、誰も声を掛けない。いや、正確には『掛けられない』。

 サッカーチームKZに所属していない小塚までもが気軽に声を掛けられない理由が、俺たちには共通しているからだ。

 学生なら誰でも本業たる勉学。常に上位に名を連ねているという理由で、俺たちは二重の注目を浴びているらしい。

 自分を向上させるために良い成績を残すことが当然とはいえ、それがアーヤとの距離を妨げるとは皮肉な話だ。



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設定タグ:探偵チームKZ事件ノート , 黒木×アーヤ   
作品ジャンル:恋愛
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ゆう - 黒木君とアーヤコンビ好きなので、コマさんに書いていただけて嬉しいです!(♡‿♡) 新作心よりお待ちしています٩(ˊᗜˋ*)و (2022年9月27日 1時) (レス) @page7 id: a5f39b1d9b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - ゲーム化!名案です!私もどのKZメンバーも大好きだから、誰かが傷つくところはなるべく見たくありません。原作の展開、、楽しみですよね。覚悟を決めて展開を受け止め、楽しみたいと思います。 (2018年2月3日 23時) (レス) id: c627713d52 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - mimiさんさん» ありがとうございます。黒木君難しいんで、そう言っていただけて幸せです。今後も頑張りますのでよろしくお願いします(#^.^#) (2016年2月2日 22時) (レス) id: 90c1ef24f9 (このIDを非表示/違反報告)
mimiさん - はじめまして!mimiさんです。こまさん黒木君ものすごく上手にかけてますね!(上から目線ですみません)おもしろかったです! (2016年2月2日 18時) (レス) id: c57bd9cf9c (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 柚子さん» コメントありがとうございます(#^.^#)黒木君、受け入れていただけて嬉しいです。私も実は独自の黒木君妄想設定があって、彼の心情を想像するとどうにも苦しくなります。また次も頑張らせていただきます!(^^)! (2016年1月27日 23時) (レス) id: 90c1ef24f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こま | 作成日時:2016年1月19日 18時

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