３ 謎の少女の正体は＊＊ ページ7
第一に雨の守護者が発したのは、"生徒証"という物自体への疑問だった。
彼いわく、ジャッポーネではまだ顔写真を撮る風習があまり広まっていない上、撮った物をここまで美しくコーティングする技術などないらしい。
確かに、イタリアでも同じ物を作る技術はなかなかないと思われる。
第二にジャッポーネには、彼女の通う学舎(ﾏﾅﾋﾞﾔ)…
＊＊＊学園などという女学校は存在しないという事。
雨の守護者は、現在使われている女学校の他に
過去に取り壊された女学校や、近々建設される女学校までもを含め、調べたらしいが、全く見つからなかったらしい。
最後に、一番摩訶不思議な事として挙げられるのが、現在のジャッポーネの年号は、「平成」などではないという事＿＿＿＿＿。
現在も今までも、そんな年号が使われた事などなかったらしい。
困惑した表情を浮かべる雨の守護者から、以上の不審な要素を教えられた私は、策謀部に戻ってさらなる衝撃を受けた。
アラウディから告げられた一言＿＿＿＿、それは
『この世界には、秋村Aという存在がいない』という事。
それは、明らかな異常事態。
生まれた形跡もなく、生きている形跡もなく、死んだ形跡もなく。
まるで、あの満月の輝く夜、不意にこの地へ現れたような少女。
＿＿＿＿以上の事から、私はひとつの結論を生み出した。
今、手元にある診断書に書かれた、ひとつの結論。
『……彼女は、この世界の人間ではない。
未来か、宇宙か、少なくとも我々の次元を越えた場所から現れたのだ。……』
それを目にして、ふと自嘲的な笑みが浮かぶ。
(…こんな夢物語、一体誰が信じるというんだか)
自分の整った文字が、憎い程に黒く目立っている。
書き上げたそれを握りつぶし、屑入れに投げ捨ててしまいたい衝動にかられる。
(しかし、もしこの報告書を出さなければ＿＿)
振り向いた先にいるのは、穏やかな寝息を立てたまま、苦しげな表情で眠り続ける彼女。
もし、私が報告書を出さなければ、アラウディの部下は問答無用で彼女を殺すだろう。
少しでも患者を救い続ける事。それこそが医者の義務であり存在価値だ。
例え、嘲りの目を向けられてでも、彼女を助ける可能性を作らねばならない。
＿＿＿＿キルリア・コリーフィルズの名に懸けて。
彼女の寝顔に微笑んだ私は、静かに扉を開け、
アラウディの執務室へ向かった。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
