３ 謎の少女の正体は＊ ページ6
窓から射し込む柔らかな朝の日差しが、私の意識を導く。
重いまぶたを上げれば、書きかけの診断書と転がった万年筆が目に入った。
診断書に書かれた「秋村A」の文字。
周囲をイタリア語に囲まれているからか、
紙の上で随分目立っているその日本語は、
眠り続ける少女の、包帯まみれの体を思い出させた。
(…今日こそ、目覚めていないだろうか)
そんな淡い期待は、重い扉を開けた瞬間にあっさりと裏切られる。
ベッド上にいるのは、やはり苦しげな表情を浮かべたまま固く目を閉じている少女。
一向に動きそうもないまぶたを見つめ、私は頭を抱えた。
私の治療は完璧であったはずだ。
血を溢れさせていた傷口を塞ぎ、折れかけていた骨を包帯でしばった。
当所は、傷口が熱を持ったり、折れかけていた骨で内臓が傷つきそうになったりしたが、今ではほとんど痛みは無いはずだ。
ならば、なぜ目覚めないのだろう？
患者の状態がつかめないという、医者としてのプライドを傷つけられる状況。
思わずため息をこぼし、白衣のポケットに手を突っ込めば、固く薄い物に触れた。
正体の定まらない彼女の少ない情報源であるこれも、私の頭を悩ます種であった。
それを見つけたのは、彼女の持ち物を調べていた部下の一人だった。
"生徒証"と書かれたそれには、彼女の顔写真が載せられ、漢字がずらりと連なっていた。
生憎、イタリア国籍を持つ者が揃う策謀部内で、漢字を読める者はいなかった。
そのため、私が代表として、ジャッポーネ出身であるボンゴレ雨の守護者の元に赴(ｵﾓﾑ)き、それを見せたのである。
その甲斐あってか、私は少女についての四つの情報を手に入れる事ができた。
彼女の名が秋村Aである事。
彼女の生年月日が、平成＊＊年＊月＊＊日である事。
通っている学舎(ﾏﾅﾋﾞﾔ)が＊＊＊学園である事。
その中で、彼女は"高等学校２年"に配属されているという事。
しかし、雨の守護者は首を捻りながら、新たなる謎を口にしたのである。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
