９ 眠れぬ貴女に死の記憶＊＊ ページ16
聞いた事のない甲高い悲鳴に、思わず目を開けた。
そこにいたのは、頭を抱えるA。
息を荒げ、呼吸に合わせて肩を大きく揺らし、
大きく目を見開いている。
尋常じゃない。
「Aっ!!」
「……あ」
シーツを握りしめる彼女の手をひっつかみ、
焦りながら彼女の名前を呼べば、
虚ろな目をこちらに向け、小さく声を漏らした。
不安げに揺れる瞳を見て、あたしの背中に冷や汗が伝う。
「大丈夫、大丈夫だからっ!!」
「……だいじょうぶじゃ……ない」
たまらず叫べば、弱々しく掠れた返事が続く。
私は、彼女の冷たい手を握りながら、Aの言葉に鋭く叫び続けた。
「……私、死んじゃった…？」
「やめて、違う!!あなたはここにいる!!」
「……やだ、リーア、怖い」
「うん、怖かったよね、もう大丈夫っ!!」
「どうしよ、兄さん達に怒られちゃうや…。
黙って出てきちゃったもん…ね」
「やだ、戻らないでよ!!
いなくなったら私が怒る!!行かないでよ!!」
「リーア、落ち着きなさい!!」
涙が出そうになった時、突然耳に入ったルーアの声。
凛とした響きに、Aが苦しみを発するたび、どんどん取り乱していった脳が落ち着きを取り戻す。
目を閉じ、頭に手をやる。
(…全く…Aより取り乱してどうするの)
そんな自問自答に、ゆっくりと息を吐き出す。
「A…。大丈夫だから、寝た方がいいよ」
やっと静まったあたしの声に、シーツから手を離したAは、安心したかのように、ゆっくりと体を沈めた。
「…全く…策謀部の重要幹部も、ずいぶんと
甘くなりましたね」
Aが再び寝息をたて始めたのを確認し、
初めに口を開いたのはデイモンだった。
「…もう、やめて」
「そうですね…こちらとしても、再びあの鬼気迫る叫びを聞くのは願い下げですよ」
あたしの拒絶に、デイモンも同意する。
誰だって、もう全てがわかっただろう。
Aは一度死んだのだ。彼女の元いた世界で。
今まで、家族に囲まれていたはずの日常の中で、不運な事故にみまわれて命を落とした。
しかし、何らかの奇跡によって、この地に再び"生まれた"
「……命令だよ」
今まで、沈黙を貫いていたアラウディが喋り出す。
「彼女の事は、策謀部とボンゴレ以外には
絶対に口外してはならない。……いいね」
決して動揺しない声に安心したあたしは、シーツに顔を埋め、ゆるゆるとまどろんでいった…。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
