11 君臨するは、救世主＊ ページ20
(…こんな綺麗な人間がいて、いいのか…？)
それが、彼に対する第一の感想だった。
昭明の下で、きらきら輝くプラチナブロンド。
透き通ったような白い肌と、整いすぎている顔。
一際目立つ、涼しげで鋭い、アイスブルーの瞳。
「…正常な君と会うのは初めてかな。
…秋村A」
薄い唇から溢れた、テノールの声が、私の名前を告げる。
外見のみならず、声まで美声だなんて罪だ。
そんな事を考えながら、硬直した体を無理矢理動かし、深々と礼をした。
「は、じめまして。
…あの、ご挨拶が遅れてすみませ、」
「…そんな事はどうでもいい」
私の言葉が遮られると同時に、顎がくいっ、と上げられ、頬に冷たい何かが触れる。
ばちっと絡む視線から逃げるように、冷たい感触の正体を盗み見て、背筋が震えた。
「…っけ、警察の方、とか…？」
「ああこれ…、そんなもんだよ。
これからの話に正直に答えない場合、お望み通り逮捕してあげよう」
私の息が詰まりかけた事などお構い無しに、彼がにやりと口元を歪めると、顎からも頬からも感触が消えた。
「…まず、君は何を聞かされた？
リーアとキルリアと、ルーアから」
彼の言葉にある三つの名前。
聞き慣れない一つに、私はまばたきを繰り返し、暫し考えた。
朝、目が覚めた時に、私のベッドにもたれて
眠っていたリーアを思い出す。
先程、部屋にいた私を無表情でこの部屋まで
連れてきた青年を思い出す。
きっと、目の前の男が言っている"ルーア"というのは、青年の名前だろう。
顔立ちが異常に似ていた二人。
名前も異常に似ている二人。
そこから生み出した結論。
「…あの二人は、双子、でいらっしゃいますか」
求められている答えとは全く違ったが、
目の前の男は短く反応した、呆れたような目をしながら。
「…それさえ聞かされてないの？」
今度は、私が驚く番だった。
リーアとキルリア先生とも、長く話したつもりだったが、リーアに兄がいるなんて聞いた事がなかった。
唖然とした私を見つめた男は、ため息を吐いて
椅子に座る。
「…その様子じゃ、何もかも本当にわかってないんだろうね、きっと」
あんなに長く君のそばにいて、家族の一人さえ教えていないなんて、リーアもキルリアも器用だ。
そんな呟きを一人言のように漏らし、彼は
また私の方を向く。
「…ねぇ、僕の名前は？」
「お前を救った方だ、とだけ…ルーア、さんが……」
鋭くなった眼光に、思わず体を縮めた。
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千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
