７ 兄妹喧嘩の原因は＊＊ ページ13
「彼女の正体を密かに聞き出すだけですが？」
「あたしが？…無論断る!!」
フォートナード兄妹が作る、一触即発の空気。
執務室を満たすピリピリしたそれに、私とアラウディは同時にため息をついた。
リーアが会ってすぐにAと打ち解けられた理由の１つとして、リーアが友人のような存在を欲していた事が挙げられる。
銃を扱い、冷たく笑いながら人を殺す娘も、やはり年端もいかぬ少女なのだ。
しかし、ルーアは違う。
自らの主であるアラウディこそ、ルーアの世界の中心であり神だ。
異世界から現れたと噂される娘を敬愛するボスに近づける事を警戒しているのだろう。
彼は妹とは対照的に、Aを快く思っていない。
この言い争いが何よりの証拠だろう。
「だから、Aはルーアの思ってるような子じゃないんだってば!!」
「アラウディ様に会わせた瞬間に本性を表し、
襲いかかってくる可能性もあるでしょう！」
…このアラウディへの思いを敬愛と取るか、
過保護と取るか。
「…アラウディ、慕われて良かったな」
「どうでもいいからこの騒音なんとかして」
小さく囁いたからかいに返された、不機嫌そうな声にクスッと笑った時、リーアが言った。
「…A、悲しいんだよ」
悲しい？Aが？まさか。
微笑む彼女には、そんな素振りは見られない。
平和の中で生きてきた者だからこそ出せる、オーラ、表情、言葉、全てが柔らかだ。
何かに苦しんでいるとは思えない。
沈黙の走る中、リーアは続ける。
「A、夜中にいつも苦しんでる」
「……どういう風に？」
「……なんか、お母さんだとかお父さんだとか…
お兄ちゃん、とか呻いてる。
あと、死にたくない、とか」
…もしや、あの怪我を負った時の恐怖を思い返しているのだろうか。
ふとそんな事を考えていれば、急にアラウディが立ち上がった。
そして、傍らにあったトレンチコートを羽織り、私の手首を掴んで部屋から出ていこうとする。
「アラウディ!?いきなり何をするっ!!」
「いいから来て」
私の抵抗は虚しく、さっさと廊下に引きずり出されてしまう。
全く、なぜこいつはこんなに強引なのだ。
痛んできた手首に刺激され、思わず心中で毒づけば、アラウディが一言だけ言った。
「ボンゴレ本部に行く。
……もしかしたら、あの娘の正体が分かるかもしれない」
淡々と言われた台詞に、目を見開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千桜(*_*)(プロフ) - 続きがとても気になります！続編楽しみです！ (2013年12月17日 10時) (
レス) id: e811a56b71 (このIDを非表示/違反報告)
音葉(プロフ) - このお話、とっても大好きです！更新楽しみにしてますね！！影ながら見守っています(=ﾟωﾟ)ﾉ (2013年7月29日 12時) (レス) id: 79ec10fac5 (このIDを非表示/違反報告)
霙@kutiki(プロフ) - ギャグ小説の方からジャンプしてきました！こっちもとても面白くて、続きがとても楽しみです！！更新頑張って下さい応援しています♪p(^-^)q (2013年7月21日 16時) (レス) id: 7b0e251a07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢霧 | 作成日時：2013年7月3日 17時
