標的326 ページ36
・
・
なんだか、怪しい臭いがするとは思っていた。
XANXUSは静かに、そう足を組み直した
確かに驚いたものの、何故今になってこの男が
Aの兄がこの戦争に出て来る事になったんだろうか。
Aは、兄の事を詳しくは語りたがらなかった。
それが、どう言う事なのか
何故そうなのか
言いたくねェなら、自分から話す時までは待ってやるつもりだったんだがな…
今の状況を見るに、その事を嫌でも強制的に知る事になりそうだ
何より、そのAの兄。
妙な匂いがする
強い奴というのは、大抵匂いで分かるとは言うが
まさにその通りだ
まさか自分が他人に対して『アイツ、強ェな。』なんて思う日が来るとは思ってもいなかった
なんと言うか…
きっとあの男は強いと言うより、特殊な戦い方をする
手を出しにくいような、戦いにくいような。
数々の修羅場を通ったが故に、身につけた力
小動物が強い敵に捕食されないよう進化してきたのとまるで同じだ
XANXUSが一人分析する中、その思考を妨げたのはAの声だった
貴方 「…お前……何処で、何してた…」
Aにしては低く、獣が威嚇をするような声音
普段のAをよく知るヴァリアーにとっては、初めて見る姿だった
ただ、ツナ達にとっては二度目のAが見せる『怒りに似た、患いの声』だ
骸の時と同じ。怒りのなかに混ざる、心配の様な声音
きっと、その事にAちゃんは気づいていない。
それがAちゃんの優しい所なんだ。
ツナはそう思った
ただ、今回は骸に見せた怒りに近いが、何処か有りえないものに声を掛けている様にも見えた
どう言う事なのだろう。
沈黙をするステラに、Aは再び言葉を投げた
貴方 「…死んだとは思ってなかった…ステラが死ぬはずがない、僕の兄がそう易々と簡単に…それでも、僕がエストラーネオから助かっても、何年も何年も、僕の前に姿を見せる事はなかった…！！」
つかつかとステラへ向かって歩き、軍服の襟を荒々しく両手で掴み引き寄せる
貴方 「死んだ、のか？…って怖くなった…信じてやれない自分を心底軽蔑した…だって、実の兄を信じてやれない妹が居ると思うか…？眠れない夜だって続いた…今でもあるさ…怖くて、眠れなくて……信じ続けてもう９年も経った…それなのに、お前は、」
く、と涙を堪える音が聞こえた
貴方 「逃げてばっかりじゃないか…」
涙を堪え、力なくAは膝を崩した
漏れる小さな声は
狡いよ…
と、それだけだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 197人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サルモネラ菌(プロフ) - ココアさん» コメントありがとうございます！ひぇ、恐れ多い；；；とても嬉しい言葉ありがとうございます！！；；うっかりすみません…！自分から宣伝しておいてURLを貼り忘れていたとは…またリボーンとはジャンルが違うのですが、貼っておくので遊びに来ていただけると嬉しいです (2017年8月16日 18時) (
レス) id: 53f6bb311a (このIDを非表示/違反報告)
ココア - 夢主ちゃん可愛いですね…！お話も絵も上手いって、凄いです！あ、それから、フォレストページ(でしたっけ？)そこで書いている作者名は何か教えてもらってもいいですか？そこの作品も読みたいので！これからも頑張ってください！ (2017年8月16日 0時) (レス) id: 506548374d (このIDを非表示/違反報告)
サルモネラ菌(プロフ) - マリアさん» (続きです)これからは、細かい時間を見つけ更新できる様心がけます！今後の話の展開にご期待いただけるとありがたいです (2017年7月12日 17時) (レス) id: fada5d1e48 (このIDを非表示/違反報告)
サルモネラ菌(プロフ) - マリアさん» コメントありがとうどざいます。中々忙しく、時期によっては日を大きく空けてしまう日が出て来ますが、更新を辞めてしまうという事はありません。なるべく、日が開いても一ヶ月以内には更新をする様にしていますが、この度は待たせてしまい申し訳ございません… (2017年7月12日 17時) (レス) id: fada5d1e48 (このIDを非表示/違反報告)
マリア - そろそろ更新してほしいです。お願いします。 (2017年7月11日 22時) (レス) id: 07cd81f65c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サルモネラ菌 | 作成日時：2016年10月31日 7時
