松野家の隣人ちゃん2 (ページ27)

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73.女の子が欲しいページ27

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「あー､姉ちゃんほしー」

夏休み､扇風機のまわるいつもの部屋｡

ばりん､といい音たてながら醤油煎餅
を食べるおそ松の大きな声が響いた｡

部活で不在のカラさん以外の弟は
ちらりと兄を見て個々の作業に戻る｡
特に反応もなく再び静まり返る部屋｡

『急になに言ってんの』

「男ばっかでむさ苦しいんだよなぁ」

『トド松で何とかしなよ』

「やだよあんなの､おっぱいねーし」

「何言ってんの僕だって嫌だからね！？」

ひとりファッション雑誌を捲ってたトド松が
顔を上げて叫ぶとイッチが「うるせ｡」と呟く｡

『姉は無理だから諦めなよ』

「Aやればいいんじゃね?」

『はぁ？』

「いいじゃんいいじゃ～ん」

楽しそうににんまり笑ったおそ松は
お煎餅の最後の一欠片を口に放り込み
「Aおねーちゃん♡」と言った｡

『ほんとにやるの?』

「いいじゃん夏休みだし」

『夏休み関係無いし』

「とことん楽しもーぜ！夏を！」

謎の倒置法を放つと急に起き上がり
空になったお煎餅のお皿を持って
ひゅんっと下の階へすっとんで行った｡

暑いせいか頭が追い付かない｡

『なんなのアレ…』

「照れてるんでしょ」

『そうなの?いっちっち』

「おそ松兄さんの照れ隠しだよ」

猫雑誌を置いたいっちが私に両手を伸ばし
するり､と何かあったのか抱き付いてくる｡
何これ何これあまえたモード的な…?

『どしたのいっち』

「おねぇチャン」

『私いっちのお姉ちゃんじゃないよ』

「何か楽しそうだし便乗しとく」

『まぁご自由にどーぞ』

適当に構っておけば何とかなるでしょ｡
ふたりなら大丈夫だいじょーぶ｡

「じゃあ僕も」

「僕も！」

「じゃあ僕もお願いしよっかな」

『いや全員はやだ』

「「「えー､おねーちゃーん」」」

『……分かったからやめて』

確かに､私には兄も弟もいないし
案外楽しめるのかも知れない｡

そう思ったとき襖ががららと開いた｡

「えーなにお前らもやんのー?」

部屋に戻ってきたおそ松はビスケットを
こんもり盛った器となっちゃんを床に置く｡
いつも通り遠慮なく二枚取って口に放った｡

まぁ1日くらいなら何とかしよう｡

「1人1日､姉弟ごっこ決定！」

鼻の下をこすったおそ松が言うと
イエーイ！とノリのいい弟達が手を叩く｡

『何それ約1週間とか聞いてない』

「もちろん妹も可！」

「「「「Fooooo！」」」」

『ちょっと待て話聞いて』

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