松野家の隣人ちゃん2 (ページ17)

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『ほんっとに品なくてごめんなさい』

「いやいやトド松くんから聞いた通りだよ」

『……あのピンク何て言ってた』

「ご飯の話題持ち掛ければ後は放置でOK」

『なにそれ…』

もう少しプラスになること言ってよ…｡
このままじゃただの食いしん坊じゃん｡

恥ずかしさに顔を覆う私を見た彼は
いつものようにくつくつ上品に笑った｡
さらに顔が熱くなるのが分かる｡

「たくさん食べる女性嫌いじゃないよ」

『えっ』

思わず顔から手を離し､彼の顔を凝視｡
目と目が合うとにこっと微笑んでくれた｡

「寧ろ好きなくらい」

『あつしさん…っ』

「あつしでいいよ」

『あつしくん…っ』

何このすーぱーだーりん！！！
もう詐欺でも何でもいいや！！！
今日はあつしくんに着いていこう｡

ぷしっ､青色のキャップをひねった｡

「今度どこかで食事しない?」

『ご飯?』

「そう､ご飯」

『いや私お金ないので』

「もちろん僕が出すけど」

『それも悪いし…』

同い年の彼に払わせるのはね…｡
それに知り合ってまだ間もないし｡

「いいよ､付き合ってもらうんだし」

『う…』

「木曜､そのラーメン食べに行こうか」

『ご一緒させていただきます…』

嬉しそうな彼に少し頬が熱をもつ｡

いやいや好きとかそんなわけないない｡
かっこいいし優しいしイケメンだけど

好きとかないから｡うん｡

「Aちゃん顔赤いよ」

『ん､ちょっと暑いだけだから』

「大丈夫?」

『大丈夫』

ごくり､冷たい液体を一気に飲み込むと
しゅわしゅわ炭酸が喉の奥ではじけた｡

「…まいったな」

『え?』

困ったように笑うあつしくんの顔を
覗き込むと､こらこらって頭撫でられた｡
怒り方も優しいスパダリあつしくん｡

「まさかこんなスムーズに進むとはね」

『なにが?』

「トド松くんが言うに､君はなかなか
　誘いをOKしてくれないらしいから」

『んん…物によるけどね……』

「OKしてくれてよかった」

『…あつしくんのお誘いだもん』

断らないよと付け足せば､珍しく
余裕の表情を崩し顔を赤く染める彼｡

あらら､珍しいの｡

『あつしくん照れてる?』

「………照れてる」

『あつしくんが?』

「僕､結構普通の人間だから」

『なんか親近感』

その顔をもっと近くで見ようと
さらに顔を近づけると､さっきみたく
見ちゃだめだよと優しく諭しながら

照れ笑いしつつ私の頭をくしゃりと撫でた｡

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