松野家の隣人ちゃん2 (ページ1)

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47.新学期ページ1

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新学期｡

桜がひらひら舞って､初々しい新入生が
真新しい制服に身を包んで入学してきて
新しいクラスに心をときめかせ何かもう
とにかく全部新しくてピンクピンクしてる｡

『クラス探すのほんと面倒臭い…』

「A俺らと同じだったよ」

ほらほらと指差された3年4組｡

松野6連続のあとに女子名簿があって
確かに柴田Aと書いてあった｡

「今回もよろしくー」

「ハニーとまた1年を過ごせるとはな」

「6年連続どうぞよろしく」

「ひひっ」

「6年連続すっげーっ！！！」

「よろしくね､Aちゃん」

『…よろしく』

6つ子はもう6人でひとくくりに
なってるらしくて毎年同じクラス｡

そんな私は彼らと中学の頃から
ずっとずーっと同じクラスという｡
隣住んでるからべつにいいのに｡

「さー！教室行こうぜ」

『はいはい』

お祭りかよ､と言いたくなるくらい
テンションの高いおそ松に肩を抱かれ
ずんずんと昇降口へ歩いていく｡

「せんせ誰かな」

『誰だろーね』

「Aテンション低くね?」

『おそ松が高過ぎるんだって』

靴を履き変えるとまた肩を抱かれた｡
べつに嫌いじゃないからいいけど｡
新学期って正直眠たいし寝たい｡

こんなこと思うべきじゃないんだろうね｡

『おそ松～』

「なに?」

ふあぁ…とひとつ大きな欠伸をする｡

きっと今年も安定の1年なんだろう｡
だっておそ松がいればクラスなんて
然程変わらない気がするもん｡うん｡

だってほらクラスの中心的なそれだし｡

『帰り6年記念にアイス奢って』

「えー俺いま金ない」

『ガリガリ君でいいからー』

「へーへー半分こね」

『棒アイス半分こはちょっと』

むなしいですから｡

それならピノとかにしとこうよ｡
ピノ6個入りだから戦いになるけど｡

『あー今年も同じクラスかぁ』

「なーにお兄ちゃんじゃ不満?」

『ううん…楽しいからいいよ』

「あ､それうれし｡ありがと」

にへら､とゆるゆるした笑顔を見せて
長男はテンションのままにやったのか
私の頬に案外柔らかい唇を押し付けた｡

ふにゅん､そんな音がしそうだった｡

「へへ､ほっぺやーらかいね♡」

「おそ松！？何してるんだお前は！！！」

『えっ…えっえっ』

「A､除菌ティッシュ」

『あっ…ありがとうチョロちゃ…えっ』

きっとお遊び半分なんだろうけど
不覚にも私の顔は熱くなっていく｡

でもそれよりカラさんの顔の方が赤かった｡

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