悪役の善人 其ノ壱【※裏切り】

感覚を研ぎ澄ませろ ページ41

〜Aside〜

「……………炭治郎」

何かを悩んでいる様子の竈門さんに声を掛ける。

自身の妹を戦わせるなんてと思う反面、戦ってくれたら攻撃に回れるという思いもあるのだろう。

その時、竈門さんの足元が沼化した。

禰豆子さんは竈門さんの元に行こうとする。

「禰豆子！俺は下に行く！！

二人を守ってくれ！

Aも他の鬼を任せた！！」

だが、竈門さんの言葉に動きを止めた。

竈門さんは沼に沈んでいく。

「えぇ…任されたわ！」

任されたとあらば、少し本気を出しましょうか。

私は刀を仕舞い、目を閉じて全身の感覚全てを研ぎ澄ませた。

鬼の気配、沼の音、空気の振動と匂い。

周囲のものを感知できる要素を総動員させる。

…感じ取れ。

神経を集中させろ。

相手が速いなら、その速度に追いつけ。

相手に遠距離攻撃の術はない。

近付いたところを狙え。


……来た。


「どうせお前は負ける……俺たちに喰われてな！」

「……『白の呼吸 壱ノ型 白刃』」

「何度やっても同じことだ…！」

目を開き、最高度の速さで刀を振るう。


ーー鬼の首が、転がった。


「…な……！？」

竃門さんには柱であることを秘匿して同行していますから不用意に本気を出せませんでしたが、喋ることのできない禰豆子さんしかいないのであれば話は別。

「……消えゆけ、悪鬼よ。

それが唯一貴様にできる被害者への償いの方法だ」

悪鬼滅殺。

それが我ら鬼殺隊の使命。

悪鬼とはすなわち人を喰らい、その行為を罪と思わぬ者のことをいう。

…無論禰豆子さんは対象外だ。

「……さようなら」

鬼は灰となって消えた。

さらに、沼の中を泳いでいた二体の鬼の気配も消えた。

竈門さんが仕留めたようですね。

…さて、禰豆子さんの方は…………

禰豆子さんの様子を見ると、鬼が禰豆子さんの額に傷をつけたところだった。

「！！」

そのまま顔に攻撃しようとした鬼の腕が、禰豆子さんに届くことは無かった。

「妹に触るな！！」

……竈門さんが鬼の腕を斬り落としたからだ。

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更新遅れてすみません…！
実は今年受験生でして、親から勉強しろと言われていたので、なかなか端末に触れず……

ということも今後増えると思うので、どんどん更新ペースが下がってくると思いますが、お話はちゃんと続けていくつもりなのでよろしくお願いします……！

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