悪役が慕われる所以 其ノ壱 ページ4
〜Aside〜
…さて、確か北北東でしたね。
向かうとしましょうか。
目的地に着くと、四人の隊士を見つけた。
美幸さんの鎹鴉に話を聞きながら向かっていたが、合同任務だと言っていたので、おそらく合同任務の相手だろう。
「ねぇ、アンタ達が合同任務の相手かしら?」
「うおっ、びっくりした!」
「多分そうだぜ」
「お前が黒城美幸か〜」
「よろしくな」
今でこそまだ友好的に話しかけてくれているが、私が口を開いて悪役になれば、即座に嫌いになることだろう。
「訂正させてもらうけど、私は白城Aよ。
アイツは忙しいらしいから代理で来てあげたわ」
「お、おう。そうなのか…」
ほら、もう私に引いてますね。
「それじゃあ今の内に聞き込みを始めるわよ」
全員が少し戸惑いつつも頷いた。
ーー程なくして。
「うっ、ぅう……」
道の隅でうずくまって泣いている少女を見つけた。
私は無言で少女に近付く。
後ろで私を引き止める声が聞こえるが、無視した。
私の(表の)性格を知った彼らは、私が何か少女に悪事を働くと予想しているのだろう。
私は少女の前に行くと、しゃがんで目線を合わせる。
「どうしてこんなところで泣いているのですか?」
少女を怯えさせないように、出来るだけ柔らかい微笑みを浮かべる。
また後ろで動揺する声が聞こえた。
…実を言うと、私、子供は好きなんですよね。
「ぅうっ…あのね…昨日お兄ちゃんがね……いなくなっちゃったのっ……」
ふむ、これは鬼の仕業ですかね……
「…それは、辛いですね…ですが大丈夫ですよ。
私がお兄さんをさらった悪い人を倒しに行きますから」
「ほ、ほんと…?」
「はい、本当です。お兄さんがいなくなる前、何をしていたか分かりますか?」
「えっとね…“今日は夜に友達と肝試しに行く”って言ってたと思う……」
……確実にそれですね。
「お兄さんがどこに肝試しに行ったか、分かりますかね?」
「…んっと………確か…あそこの山だった、かな」
少女が山を指差す。
「ご協力ありがとうございます。
こういった事もありますから、夜にはあまり家を出ないようにしてくださいね」
少女の頭を撫でてから立ち上がる。
「う、うん………ねぇ、お姉ちゃん」
「はい?」
「ーーお兄ちゃん、帰って来るの?」
息を呑む音が後ろから聞こえた。
鬼にさらわれた人間の生存率は低いからだ。
私はもう一度しゃがみ、少女の目を見た。
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こくらげ(プロフ) - 柚餅子椿さん» こちらこそありがとうございます!お待ちしてます〜 (2019年12月3日 22時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
柚餅子椿(プロフ) - ありがとうございます!はい、描けたらURLを貼らせていただきます…! (2019年12月3日 22時) (レス) id: 8588a4cb1f (このIDを非表示/違反報告)
こくらげ(プロフ) - 柚餅子椿さん» 全然大丈夫です!むしろこちらからお願いしたいくらいですから、とても嬉しいです!描けましたらコメント欄にURLを貼っていただければ幸いです! (2019年12月3日 16時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
柚餅子椿(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します!いつもお話楽しく読ませていただいおります!質問なのですが、夢主さん描かせていただきたいのですが大丈夫でしょうか…? (2019年12月3日 16時) (レス) id: 8588a4cb1f (このIDを非表示/違反報告)
こくらげ(プロフ) - こーりさん» いつもコメントをくださってありがとうございます!更新頑張ります! (2019年11月27日 19時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こくらげ | 作成日時:2019年10月8日 23時