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「えっとここに入って、それから……?」
迎えてしまった当日、駅前で待ち合わせ…したはいいけど、徒歩通学で駅前には滅多に行かない私はこの時点で既に迷っていた。
いや、まだ行ける。NingleMap様を信じろ。
「あ、こっち行けば着くかな?」
「逆だ阿保」
「痛っ!?……って、晋たろムグッ!?」
「シーッ。此処一応公共の場だ。控えろ」
口を押さえられたまま必死に頷くと、口元に合った手は離れる。
普段はしない目深い帽子に黒いマスク。
目立たない格好をしている彼が、実はアイドルだと分かるにはまじまじと見ないと分からない。
「方向オンチだろうから心配して見に来てやったら……」
「ち、ちが!土地勘がないだけです!」
「いや同じだろそれ」
くくっと笑われて恥ずかしい。恥ずかしさからもう行こうと急かせばもっと笑われた。ぐぬぬ。
「ほら、人多いから手貸せ」
「うん……えっ!?」
「お前チビだからはぐれないようにしとかねぇとな?」
「は、逸れないです〜!!」
大人しく言われてばかりだと思ったら大間違いなんだから!
強がってなんかないし、見栄なんて張ってない。
「迷わないように、繋がせろ」
「あああ繋ぐ!繋ぐから顔近づけるのやめて!」
……恥ずかしくなんて、絶対にない。
○° ○° ○°
「輪道といちゃいちゃしてた匂いがする」
「し、してないし匂いもしない!」
「そうだよ勘右衛門。揶揄う前に勉強しろ」
来て早々勘ちゃんが不機嫌顔で「勉強教えて」と言って1時間。
正直勘ちゃんの頭は悪くないしむしろ上位レベルな気がする。何なら私よりも賢くない?ってぐらい。
「勘ちゃんなら10位以内入れるよ?じゃあ私、晋太郎の方見てくるね」
「うん。行ってらっしゃい。ほら、勘右衛門は俺が見るから」
「やだ〜!鶯巣に見てもらう〜!」
「我儘言うな!」
兵助に勘ちゃんを頼み、晋太郎の元へと向かうために部屋の中にある階段を降りる。
メンジョンタイプのデザイナーズマンションでモノトーン調のシックな部屋は彼の見た目の雰囲気にもなんとなく合ってる気がする。というか一人暮らしにしては広すぎるでしょこの家。
「晋太郎、どう?進んで……って1ページも進んでない!?」
「……上でお前らがぎゃーぎゃー騒ぐから集中できなかった」
「それは言い訳です!ほらペン持って教科書見る!私が今から見てるから!」
「おー」
やる気あんのか、コイツ!
無気力に返す彼に怒りに満ちた拳を押さえ、勉強を始めた。
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来夢(プロフ) - とても素敵な作品ですね!更新待ってましたぁぁぁあ!!!これからも頑張って下さい( ̄^ ̄)ゞ応援してます! (2020年10月20日 23時) (レス) id: cfa50364df (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - とても素敵な作品をつくってくださりありがとうございます!いつも続きを楽しみにしてます!これからも無理せず頑張ってください! (2020年3月19日 10時) (レス) id: 6604df6f14 (このIDを非表示/違反報告)
来夢 - 私この作品がとても好きです!いつも新しいお話が出るのを楽しみでワクワクしています!これからも応援してます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: 0c53dd61ea (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - 続編だ〜!!めっちゃうれしいです!これからも頑張ってください!応援してます!! (2019年12月21日 14時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
るーじゃすどれいんw(プロフ) - 続編ありがとうございます!これからも更新頑張ってください!この作品が大好きです。応援してます! (2019年12月20日 22時) (レス) id: 6c9d28df35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無音 | 作成日時:2019年12月20日 21時