○° ページ19
「千代峯何処にいたの!?」
「裏裏山のずっと奥深くだ！崖下近くだったから落ちたことも懸念した方がいい！」
「伊作先輩！お湯持ってきました！」
「ありがとう左近！今行くから医務室持っていって！」
千代峯の小さな背中に自分の半纏をかける。それとともに閉じられた瞼を開いて、瞳孔を見る。
……この時の僕は気づいていた。もうこの子は駄目なんだって。
「先輩、」
「うん」
「千代峯は、寒いの強いんで大丈夫です。
それにコイツ、いつも怪我してるけどすぐけろっとしてて、だから……」
「……八左ヱ門。医務室に千代峯を下ろしたら休むんだ。君もとても冷えてるよ。」
八左ヱ門に僕は何一つ声をかけられなかった。医務室の布団に下ろされた千代峯の手当てを始める。
「よく頑張ったね。帰ってこれたよ。」
冷え切った頬を優しく撫でても、君は目覚めることはなかった。
手当てを終えた僕は、目に力を込めて口を開いた。
.
「雪が止んだら、千代峯の葬儀をしよう。」
最初に泣いたのは僕以外の保健委員だった。君はよく怪我をしていたからね。もう手当てした後、君に優しく頭を撫でてもらうことができないことが悲しかったんだ。
目を覚ました孫兵は君のことを知るや否や大声で泣いていた。君は知らなかったと思うけど、あの子は本当は君のことを誰よりも尊敬していたんだよ。
×××は君に縋りついていた。大切な後輩である君を死なせてしまったことを悔やんでいた。彼女を慰めていた仙蔵も僕と同じような表情を浮かべていて、罪悪感に蝕まれる×××を連れて帰って行った。
五年生はずっと泣いていた。
勘右衛門は君の体を揺すっていた。誰よりも君の傍にいて、もう起きない君に『目を覚ましてよ』と何度も泣き叫ぶように言っていた。
兵助は部屋の扉の前に座り込んで、握りしめた拳で何度も床を叩きつけていた。助けに行くことができなかったことが歯痒かったんだろう。
八左ヱ門は君にずっと謝っていた。責任感の強い彼は『俺のせいだ』って自責の念に駆られていて、とても見ていられなかったよ。
雷蔵はただ呆然としていた。目の前の現状が理解できなくて、君に触れて君の体温がなくなっていることを知ってようやく声を上げて泣くことができた。
＿＿ただ一人、三郎は泣かなかった。泣いているところを見せなかった。いつも通り過ごして、四人を励ましていた。暗くなった五年生の間を取り持っていたのは三郎だった。
.
だけど、事件は起きた。
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来夢(プロフ) - とても素敵な作品ですね！更新待ってましたぁぁぁあ！！！これからも頑張って下さい(￣^￣)ゞ応援してます！ (2020年10月20日 23時) (
レス) id: cfa50364df (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - とても素敵な作品をつくってくださりありがとうございます！いつも続きを楽しみにしてます！これからも無理せず頑張ってください！ (2020年3月19日 10時) (レス) id: 6604df6f14 (このIDを非表示/違反報告)
来夢 - 私この作品がとても好きです！いつも新しいお話が出るのを楽しみでワクワクしています！これからも応援してます！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: 0c53dd61ea (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - 続編だ〜！！めっちゃうれしいです！これからも頑張ってください！応援してます！！ (2019年12月21日 14時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
るーじゃすどれいんw(プロフ) - 続編ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！この作品が大好きです。応援してます！ (2019年12月20日 22時) (レス) id: 6c9d28df35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無音
| 作成日時：2019年12月20日 21時
