○° ページ15
「ち、違う!」
「貧相な体とガキっぽい下着でまだ言うのか。色気もへったくれもないくせに色仕掛けするな痴女」
「だから__!」
再び違う、と言おうとした。
だけど今の自分の姿はまさしく三郎の言う通りなので口を噤もうとした。けど、またぶるぶると鼻の奥が軽く痙攣して……
「はっくしゅん!!」
肌に触れる風が冷たい。
あぁ、やだな。
「寒い……」
寒いのは苦手なのに____
.
ふわり、と何かが肩にかけられる。
何かと思って手に取ると、いつも三郎が着てるカーディガンで。
「貧相で見てられないから、貸してやる」
「三郎……ありがとう。」
「ん、」
ぶっきらぼうに返事しては、隣に座る。目を合わせようとしたら逸らされるけど。
「三郎はどうして此処に?」
「雷蔵、今日は図書当番だから終わるまで此処で待とうと思ったんだ。そしたら下着で居座るお前がいた。」
「うるさい。これには色々あったの。」
「ファンクラブがやったのか?」
「……避けようとしたけどその前に取り押さえられちゃって…」
「鈍臭っ。まぁ実戦に弱いい組なら仕方ないか。」
「はっ倒すよ」
一言多いところも相変わらずで、やっぱり三郎は変わってない。そう思っていた。
「寒くないか?」
「え?う、ううん。カーディガン着てるからあったかいよ?」
「本当か?」
「本当だよ。どうしたの三郎?」
「いや、いい。それならいいんだ…」
顔も見えないのに、三郎の様子がおかしいと思ってしまう。
それは私の考えすぎかもしれない。三郎に言ったら「思い過ごしだ」とまた遠ざかってしまうかもしれない。
「三郎、大丈夫?何かあったら何でも言ってね?」
だけど、三郎のことが心配だから、力になりたいと思う自分がいるから、聞いてしまった。
「どうして、」
三郎と目が合う。
.
「どうしてお前は、いつもそうなんだ。」
いつも飄々しているあの三郎が顔を歪め、揺らぐような瞳で私を見つめていた。
75人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来夢(プロフ) - とても素敵な作品ですね!更新待ってましたぁぁぁあ!!!これからも頑張って下さい( ̄^ ̄)ゞ応援してます! (2020年10月20日 23時) (レス) id: cfa50364df (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - とても素敵な作品をつくってくださりありがとうございます!いつも続きを楽しみにしてます!これからも無理せず頑張ってください! (2020年3月19日 10時) (レス) id: 6604df6f14 (このIDを非表示/違反報告)
来夢 - 私この作品がとても好きです!いつも新しいお話が出るのを楽しみでワクワクしています!これからも応援してます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: 0c53dd61ea (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - 続編だ〜!!めっちゃうれしいです!これからも頑張ってください!応援してます!! (2019年12月21日 14時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
るーじゃすどれいんw(プロフ) - 続編ありがとうございます!これからも更新頑張ってください!この作品が大好きです。応援してます! (2019年12月20日 22時) (レス) id: 6c9d28df35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無音 | 作成日時:2019年12月20日 21時