【RKRN】さよならダンデライオン*２*

○° ページ13

「鶯巣、輪道に誘拐されてから何か変」

「誘拐って…ただいちごみるく奢ってもらって、猫見かけたら教えるって約束しただけだよ」

「それがもう変なんだよ！」

「勘右衛門、ここお店。それに口に入れたまま喋ったら迷惑だよ。」


ぷんすこ、と効果音が可愛く聞こえるほどの勢いで大量のドーナツを頬張る勘ちゃんを豆腐ドーナツを一口一口大事に食べる兵助と顔を見合わせて苦笑いする。

あの後教室に戻ったら、臍を曲げた勘ちゃんと隣でおろおろとしている兵助がいて、声をかけると凄く怒られた。しかも『ほったらかし罪』として駅前のミスドへ行こうと誘われて、断りきれなくて了承した。
勘ちゃん曰く『うちの娘がアイドルなんて収入の落差が激しい職業の男に誑かされてるわよ兵助パパ！』らしい。もうツッコむ気も失せた。


「でも晋太郎は、悪い人じゃないと思うよ。」

「ほら〜！もう呼び捨てしてる〜！俺なんてまだ『尾浜くん』なのに〜！ずるい〜！」

「ごめんね？許して、勘ちゃん？」

「許す！」

「それでいいんだ…」


ご機嫌になった勘ちゃんがドーナツをお代わりしに行った。まだ食べるのか。


「……」

「兵助？どうしたの？」

「ん、あぁ……輪道のことなんだけど、どっかで見たことあるんだ。」

「テレビで？」

「いやテレビなんかじゃなくて、もっと、ずっと昔に……駄目だ、思い出せない。」


バツが悪そうにドーナツを頬張る兵助に思わず笑ってしまう。


「早く思い出せるといいね、私達」

「ッ………」

「？…どうしたの？」

「え、あ、いや、なんでもない」


そう言って兵助は目を逸らして二個目のドーナツを頬張った。何処となく顔も赤い気がする。

……変なの。




.




( ハチが言ってた時はピンと来なかったけど…笑った千代峯の顔って、こんなに可愛かったんだな…… )

( やだ、兵助ったら…！俺に内緒でアオハルしてる…！ )←盗み聞き

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