全ては.... ページ40
＊
私と慎の視線の先にいる人影
光の加減で表情が隠れている...
さっきまでの重い空気と同化するような雰囲気で立っていたのは紛れもない北人さんだった。
表情が見えないせいもあるか、さっきまで寝ていたからか、
北人さんに纏う雰囲気は奇妙なものだった。
そしてその重い人影はこちらに向かうと思いきや、何やらキッチンの方へ足を進めた。
ガチャガチャっという金属音と、北人さんが鳴らす足音が無意識の緊張感をうむ
それを感じているのは慎も同じようだった...。
北人さんが姿を現してから数分、再びその人影が私たちの視界に入ってくる。
でも次は彼は私達の方へ近づいてきた...。
私と慎が腰をつく距離はそれほど離れていない。
だから北人さんがどちらに用があって、こちらに体を向けているのか分からなかった。
もしくは2人ともかもしれないが...。
「っ...！」
でもそんなものの答えが出たのはほんの数秒後
“北人さん”
そう呼んだ慎に目もやらず北人さんが掴んだのは私の肩だった
掴まれた衝撃と驚きのあまり、目を見開いて流れのまま北人さんの方へ顔を
“向けてしまった...”
肩の次に温もりを感じたのは...
唇だった...。
ドアップになる北人さんの顔
一瞬のうちに指で口に押し込まれ、舌の上にのった固形のもの
焦ったような声を出す慎の様子が耳に同時に入った。
私は突然の出来事ながらも、咄嗟の抵抗をするが、それはもはや無となる。男の力には敵わない...
「んんっ...」
私は力を込めるのをやめなかった
でも逆にそっちに夢中で、固形物を舌の上にのせたまま、唇もぐっと歯を食いしばっていた
いた...。が...、
「＿＿＿＿＿＿＿っ...」
無理矢理と言っていいほど、強引にねじ込まれた舌
あまりの力に抜けてしまった抵抗
少し開いた私の口の隙間から、北人さんの唾液と
大量の水が流れ込んだ
そして口から溢れそうになるが、それが北人さんの唇によって妨げられているため、水は舌の上の固形物とともに喉へ流された
そこから私の記憶はない＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：M谷
| 作成日時：2020年1月22日 19時
