Wolf Ⅱ (ページ41)

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＊No side＊ページ41

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＊No side＊

『北人っ...さん...？』

北人の腕の中で気を失っているA
その姿を驚いた顔で凝視する慎は上手く声が出ていない

『...』

声を振り絞っている慎の対して、全くといっていいほど気を向けない北人

そんな北人は無言でAを横抱きに抱き上げると、静かに立ち上がった。

『なぁっ！何したんだよ...！！』

そのまま部屋を出ていこうとした北人を引き止めたのは、再び声を出した慎だった。
その声は荒がり、先程のものとは裏腹に圧が増した。

そしてその声と同時に慎は北人の肩を掴む。

『...』

それでも北人は微動打にせず、慎に静かな視線を向けた。

『なんすか...、その目は...』

『＿＿＿＿＿＿＿...、慎には分からないよ』

『えっ...？』

静かな視線に似合うような、冷めた口調

部屋の空気もそれに比例して冷たくなっていく...

『大丈夫...、即効性の睡眠薬飲ませただけだから...』

『はっ...』

言葉の隙間をつかれた慎は一瞬言動を怯ませる。

その隙を狙って、北人は慎から視線を外し、足を動かし始めた。

素足で床を歩く音が部屋にひびき、それに混じった慎の悔しそうな歯切れ声が漏らされる。

そんな景色を背に、Aに“愛おしいものを見るような視線を向ける”

北人の姿を誰も知らない...。

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