Wolf (ページ33)

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私は震える体をどうしても支えることが出来ず、しゃがんだままドアに体重をかけた。

その瞬間、

「っ...！！！」

急にドアが空いて、体がそのまま横に倒れる。
あまりの驚きに声にならない悲鳴が漏れた。

バタンという音と共に私の体が部屋の冷たい床に転がる。

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衝撃のせいで涙で濡れた顔にくっつく髪の毛。

起き上がると同時にその髪の毛を書き分けると、目の前には感情の読めない表情をした彼がいた。

立っていた彼は私の目線までしゃがみこむと顔を覗き、私と目を合わせる。

溢れる涙を拭うのを忘れ、私はその体制から動けなかった。

壱『バカ...』

彼は私の涙を指で拭く。

そして頭の後ろに手を回し、私を引き寄せた。

私は正直にうんとは言えず、ただ頭に流れる私への罵倒の言葉に首を振った

“私のせいで”
そんな言葉が私を圧迫すると共に、耐えきれず彼の背中に腕を伸ばす。

“私のせいで”“殺される”
ただその2点張りだった。

頭を侵食してなかなか離れていかない。
彼の胸に顔を埋め、どうにかその不安から逃れようとするが簡単には逃げられなかった。

・

壱『北人わりぃ、今日は帰ってくれん？』

北『はっ？』

壱『悪い』

北『ちっ...』

彼は私を抱えたまま、私の背後にいるであろう北人さんにそう告げた。

それを聞いた北人さんは不機嫌に声を出すと、渋々の様子で部屋を出る。
数秒後、ドアが開く音の後に閉まる音が聞こえた。

その音を耳に私は彼に抱きしめられる。
しゃがんだ状態の彼だったが、私の頭を支えながら床に腰を下ろすとさらに私を引き寄せた。

・

壱『なんも心配しないでいい...』

「...」

壱『離れないから...』

彼のその言葉に何も答えられなかった。

・

彼の声はどこか弱々しく感じる。
彼は殺し屋で強く恐怖を物語るその姿は、凶暴だと恐れられる狼に似ていた。

でも時折見せる瞳、声、表情からは決して表には出さない叫びがあるように思えた。
まるで悲しみのあまりオオカミが発する遠吠えのような...。

“離れないから”
その彼の言葉に返す。

“遠吠えが聞こえたら、私はあなたのそばを離れない”

彼の傍にずっと“いたかった”

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