Wolf (ページ27)

今日:74 hit、昨日:69 hit、合計:524,487 hit

＊ページ27

＊

あれから数時間くらい、ずっと彼の側にいた。

彼の様子はさっきよりもマシになって、呼吸も落ち着いている。
額に手をやるとまだ熱い体温がガンガンと伝わってきた。

でも顔は穏やかになり、苦しむ様子も辛い様子も見てとれない。
安堵の息がようやく溢れた。

・

「お水欲しいかな…」

いつのまにか離れていた彼の手。
離れていたというより、寝てしまって握る力が弱くなり、自然に離れてしまっていた。

でも私は自分からその手のひらに自分の手を重ね、
握りはしなかったが“ここにいるよ”という気持ちを込めてずっと置いていた。

私は立ち上がり、そして手を離すとキッチンへ向かう。
それほど距離はなく、振り向けばリビングの様子も見れた。

冷蔵庫を開けると冷気が一気に襲ってくる。

彼の体温が私に伝わり、自然に私の体温も少し上がっていてその冷気がとても気持ちよかった。

私は目の前にあったペットボトルをとると、冷蔵庫を閉めて彼の元へ戻った。

・

「あっ、起きてた…の…？」

リビングへ足を戻した私。

目を離した数秒の間に、彼はソファーから上半身を起こし目をパッチリと開けていたのを視界がとらえた。

ソファーに近づき声をかけるとこちらを向く彼。
なぜかいつもよりその瞳が熱っぽく感じた。

・