推し婚【松田陣平】 (ページ8)

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恋愛対象者_Mo ページ8

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「…大丈夫？」

『大丈夫じゃないので助けてください』

どうやったらそんなにずぶ濡れ且つドロドロになるのかというくらい水道と双海さんが大変なことになっているところに遭遇したのが1番最初に双海さんと喋った日だと思う。

「寒くない？一回これ羽織って着替えてきなよ。俺はその間ここ掃除してるから」

『いいの？』

「うん」

それから水道の泥を落として、着替えた双海さんが帰ってきた。

「大丈夫そう？」

『えっ、掃除してくれたの？』

「うん。こっちは終わったよ」

『ありがとう、タオル。洗ってちゃんと返すね』

「あれ俺が一回使ったやつだからいいよ」

『ううん、洗って返す。助けてくれてありがとう』

なんであんなに泥まみれで服もビッチャビチャだったのかは聞いてないけれど、何回もお礼を言われてそれも土下座する勢いだったから、すごいこの人はいい人なんだろうなぁって思った。

『あの、名前教えてほしいな』

「名前？諸伏景光だよ」

『景光くんって呼んでもいい？』

「え。うん」

『ありがとう、景光くん』

まぁなんていうか、無自覚に男心を燻る子だとも思った。
笑った時の涙袋が特徴的な子だと思ったのもその時。

「あれ、松田と双海さんだ」

「双海さん？」

「相生教場の子だよ何回か喋ったことあるんだ」

食堂の前を通った朝、松田と双海さんが親しそうに話をしていたところに遭遇してしまった。
遭遇というよりも一方的に俺たちが見ただけ。

「あ〜狙いはそれだったか。なんか陣平ちゃん最近早起きしてるみたいだったからさぁ。なんでだろうなぁと思ってたのよ」

彼女はどうやら朝勉強しているらしく、松田もそれに合わせて早起きしている。

「これは…」

「なんか面白くなってきたねぇ」

松田の恋路の話なんて聞きたいに決まっているし正直からかい甲斐がある。
双海さんは面白い子だから、気になった。

多分みんな気になってた。だからちらほら様子を気にしては俺たちだけで盛り上がったりしてたんだけどもどうしてこうなったんだか。