推し婚【松田陣平】 (ページ45)

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嫌なイメージページ45

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私のお見舞いに来るなりなんかご機嫌斜めな陣平くんにどうしたの？と聞いた。

「結婚…しねぇか」

真面目な顔でそう言った言葉が私にとっては重い言葉だった。

”なぜ人は結婚するのか”昔高校でこんな授業をしてもらったことがある。私は昔から家族についてよく分からないことが多く、父と母の結婚によってもたらされたものはプラスだけではないことを知っていたから、結婚に良いイメージがなかった。

ただ、これは私自身の意見であり他の人の結婚式は普通におめでとうって思うし、綺麗だし素敵だとは思う。ただ、いいなぁとはならなかった。

『陣平くんの、ご両親ってどんな人？ご両親同士は仲良いの？』

「…そうだな、親父は俺に似てるがお袋はどちらかといえば朗らかな人で…まぁ仲はいいんじゃねぇの」

陣平くんのご両親はきっといい人だ。
私の両親とは正反対なんだろう。

『私の母が結婚する時、前妻の方はお亡くなりになっていたけれど、関係は生前からあった。お姉ちゃんは本当に優しい人だから、私に優しくしてくれたわけで…でも家族団欒なんて記憶は私の中にはなくって…陣平くんがそんな人じゃないことはわかってるけど今すぐに返事はできないな』

断るでもなく、肯定するわけでもない言い方はずるいと思う。
でも、陣平くんだから私は考える時間が欲しかった。

「…待つ、だからお前の家族のこと、教えてくれ。俺は全然そんな話知らなかった」

それから少しだけ私の昔の話をした。
陣平くんは聞いてただけだけど。

『でも私、上京してからずっと楽しいよ。ちょっと上司がスパルタすぎて心折れかけたこともあったけ中学までできなかった友達がいっぱいできて嬉しいの』

だから、幼馴染っていいなぁとかちょっと思ってたりもしてたんだよなぁとは言わないけど。

『あっ、でもなんで私と結婚したいの？』

「…底なしに好きってのは前提として、俺は俺の知らないところでお前が事件事故に巻き込まれて大怪我しただとか、最悪な場合死んだとか。連絡が来なくて後から知るなんざぜってぇ耐えらんねぇ」

まぁでも、陣平くんがそんな人じゃないって私はよく知ってるはずだ。