推し婚【松田陣平】 (ページ40)

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ふたりの時間ページ40

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『…これといってなんもないけど』

休みの日、陣平くんが初めて家に来た。
というか私たち、お付き合いを始めてからこうしてゆっくりした時間を過ごすのは何かと今日が初めてだ。事件事件事件。あ、でもゆっくり過ごすのは初めてでもないか。あれ付き合ってなかったけど。

私の部屋は本当に無機質で、趣味で学生時代に集めていた大量の漫画とCDくらいしか誇れるものがない。

「なんもないことはないだろ」

『まぁちょっと揃い悪い漫喫みたいな感じかな？』

本棚に立てられている200冊くらいの漫画を陣平くんが吟味していた。
シリーズで45巻とかだったりするから話は多くないんだろうけど

『紅茶とオレンジジュースだったらどっちがいい？』

「オレンジ」

『はーい』

様子を見るに今日は陣平くんもこの後どこかに出かけようって感じでもないし漫画見てるからこのままお家デートになるらしい。私はそっちの方が好きだけども。

「うわ、これ懐かし。俺読んでたわ」

『結構流行ったもんね』

「でも結局完結まで読んでねぇんだよなぁ、途中で高校卒業して借りる相手がいなくなった」

友達に借りてるのすごい想像できる。

『陣平くん、なんとこの家。完結の45巻まで揃ってます』

こんな漫画ではしゃいでくれる陣平くん、可愛い。めっちゃ可愛い。普段タバコ吸ったりするし、ちょっと態度悪いし、サングラスとかかけちゃってかっこいい感じなのに、なんだこの少年感。

「えっ？ごめん、何にも聞き取れなかった」

『だから、陣平くん改めてめっちゃかっこいいなと思って。漫画読んでるだけなのに彫刻みたいだった、どうなってるんだろうね、イケメンって。寝顔までイケメンはイケメンってどうなってるんだろう？私が作れるご飯なんかしれてるのにうま。とか言ってくれたの』

「ちょ、ストップ。双海ちゃんまた諸伏ちゃんの時みたいになってる」