推し婚【松田陣平】 (ページ38)

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軽率に恋するなページ38

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「よくやったよ、双海くん」

『…あ、いえ。私はほんと美味しいとこ取りしたみたいな感じですから、一連の事件を解決に導いたのは皆さんの努力が不可欠かと』

今日の早朝、俺たちが一連の事件の首謀者の捜査に出向いていたところ、容疑者と思われる女が逃走した。その女があまりにも”普通”であったがために捜査官は誰もその女が犯人だとは疑いさえしなかったからこそ、サイバー班から情報が入った時には遅かった。

犯人の逃走車両を追い詰めた時に、その先にいたのがA。正確に言えば、機捜102の2人。
あまりに緊急であったため、情報共有がちゃんとできてないところ、本当にたまたま2人はそこに居合わせたという。

『えーっと…とりあえず拘束してみましたが…容疑者で…あってるよね？』

その場の誰もが拍手を送りたくなるほど華麗な片手絞を披露した。

「こんなの自供させるまでもないですよ、首謀者の女は、30年前に逮捕されて死刑になったうちの1人の娘で、父が成し遂げられなかった偉業を達成するためにやらなければいけないことだったとか、各地で逮捕されてた人はサイトで集めたってサイバー班が特定してますし」

「言ってることが支離滅裂だから、精神鑑定に出されるかもね。これからのことはわからないわ」

結構大掛かりな合同捜査であったがため、俺たちヒラの役割は終わったようだった。

「いやぁ、もうAちゃん見れなくなるのか〜惜しいねぇ」

「うちの部署にも欲しいですよね、あぁいった癒し的存在」

「優秀で癒しってもう褒めるところしかないよねぇ。俺のペアもあんな子だったら頑張れたのになぁ」

「悪かったな、癒しじゃなくて」

「あれ？自分で優秀って言っちゃってるねぇ？」

別の刑事がそんな話をしていたのが聞こえてきた。

「あ〜！Aちゃん！これ俺の電話番号！何かあったらいつでも連絡してね♡」

『…何かあったらって、田中さん隣県の刑事さんですよね？』

「Aちゃんのためなら俺走って駆けつけちゃうよ」

『遠すぎますよ』

「おい田中、もう行くぞ。すんません、こいつが」

「いだだだ！ちょっと待ってって」

可愛い彼女が他の男に目をつけられないわけがなかった。