新たな事件 ページ36
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晴れてそこそこ長い片思いが実ったところ、何が変わったのかというと正直言って何もかもが変わった。
「陣平ちゃん、最近顔緩みすぎ。幸せってのが顔から滲み出てるよ」
「あ〜?んなことねぇだろ」
「いやいや」
自分の表情がそんなに違うとは思わなかったが、そう見えるのも仕方ないほど、Aが変わった。
『陣平くん』
俺を見つけたらふわっと周りに花が出てくるかのように笑ってくれるし、なんでもないのに声かけてくれるところは前と変わらないが、少し離れたところにいても気づいてくれるようになった。
にっこーと笑って控えめに手を振ってくれる。
それがまぁとんでもなく可愛くて、学生時代の恋みたいな感じがしてむず痒い。可愛い。
「あれ、あの子誰?見たことない顔だけど」
「あ〜機捜の子ですね、最近まで怪我で離脱してたみたいです」
「珍しいな、若い女の子が機捜にくるなんて」
「でも、今回の件1人目と2人目の犯人捕まえたのあの人みたいですよ。キャリアって話聞きました。珍しいですよね」
まぁでも、付き合ったからと言って周りに言いふらしてるわけでもないから
男が大半を占めるこの組織で彼女はかなり注目を浴びている
「松田さーん!」
「なんだ?」
「午前にあった事件なんですけど、捜査一課にも協力を仰ぐみたいで、午後の会議までに資料を渡してて欲しいって」
「おー。サンキュ」
犯罪件数の多いこの町だが、ここまで大掛かりな捜査はそう多くない。
機捜と合同捜査もそこまで多くない。
付き合ってからゆっくりできると思ってたけどそれはまだ先らしい。
あの日の事件が長期にわたるもの、且つ全国で多発的に同じような事件が検挙されていることが報告されて、今は合同捜査が
組まれている程大掛かりな捜査をしていた。
「俺合同捜査って初めてなんですけど、どんな感じなんですかね?怖い人とかいるのかな」
「あー、合同つっても俺らは大体張り込みとかだからそこまで心配しなくていいんじゃねえの?」
Aの部下にそういうと、そいつは少し驚いていた。
「俺、勝手に松田さんって怖くて話辛いイメージあったんですけど、Aさんが言ってた通りですね」
「言ってた通り?」
「はい、優しいから大丈夫だよってさっき」
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ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最後の落ち方が神すぎて続きが待ち遠しい (6月6日 18時) (レス) @page44 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lerian | 作成日時:2023年5月22日 21時