片っ端からやってやる ページ30
.
『本当にありえない、あの人たち』
「ですね〜、伊達さんのフォローなかったらAさん爆発しそうでしたもんね」
『伊達ならなんとかなるさ』
あんな連続殺人事件があったにも関わらず、すぐに他の事件が舞い込んでくるから他なら捜査一課案件でも私たち機動捜査隊が最後まで捜査しないといけない時まである。本当に人手不足。
「なんか携帯なってません?」
『あ。私か』
画面には松田陣平と出ていた。
『はーい、どうしたの陣平くん』
「あー。なんだ今忙しいか?」
『いや?今から外回りって車乗ったとこ』
「そか、ちょっと話させてくれ」
『うん?』
電話の向こうが少しだけ静かになった。
「ずっと好きだった。警察学校ん時から」
私が言葉を止める前に、陣平くんは全部吐き出した。
「うまいもん食って、うまいもん飲んでる時の幸せそうな顔も、笑った時の顔も、変なとこ肝座ってるところも。全部好きだ。なんも言えねぇまま死ぬのなんざごめんだからな」
熱烈な告白とともに告げられたのは、死ぬのなんざごめんだからという言葉。
『…死ぬ?どういう』
「四年前の事件と同一犯だ。爆破3秒前にならなきゃもう一つの爆弾の位置が病院ってことしかわかんねぇ」
萩原くんに比べて、私が彼と過ごした時間は本当に少ない。
だけど、わかることがある。
絶対陣平くんは爆弾を解体しない。
「伝えないまま死ぬってのも、な」
『…死んじゃうかもしれないからいいたいことを言うって…ずるい』
私も言いたいことあるのに
『伊吹…車出してくれない?』
「えっ。Aさん泣いてるんですか?」
『出して、車』
「警視庁すか?」
『いや。杯戸町ショッピングモールの近くに、あと電話かして』
「はい?」
彼の電話をふんだくって、私は電話をした。
「はい、どちら様で」
『お姉ちゃん私、米花中央病院、東都大学附属病院センター、杯戸西町病院、あ〜とは。全然思い浮かばないんだけど、とりあえずお姉ちゃんの病院含め、近隣の病院のどこかに爆発物が仕掛けられてるかもしれない。犯人はあくまで警察への復讐が目的みたいで。でも院内で置けるところって限られてくると思うから、トイレの中とか、駐車場とか、誰でも入れる場所、そういうところ重点的に調べてほしい』
「…警察からそんな話は聞いていないけれど?」
『その爆弾見つけないと、必ず1人が死んじゃうの』
やるなら片っ端からやってやる。
284人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最後の落ち方が神すぎて続きが待ち遠しい (6月6日 18時) (レス) @page44 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Lerian | 作成日時:2023年5月22日 21時