ひとりぼっちのない所 ページ5
□
「今日眞矢くん大阪行ってるんだって」
いつも一緒にいた眞矢が初めていない日で、
しかもAさんも居なかった。
「お、津美紀ちゃんはもうそんな難しい漢字も書けるんか〜すごいなぁおじさん漢字は苦手なんよ」
「お前、中卒だもんな」
「ハハハ！中学も卒業してないもんだろ！」
けど、あの家に居たら、
絶対に1人になることは無い。
「恵は学校の宿題か？」
「うん、明日の宿題」
「えらいなぁ俺なんかガキの時一回も真面目に宿題やったことないで」
「それ賢治さんガキの頃からヤンキーだったからじゃないすか」
騒がしいリビング
ただ、そんな空間が俺は好きだった。
「恵くんと津美紀ちゃん、いやしんぼするか」
「わー！おいしそう！！」
「なにこれ」
「食べたことないんか？それは反応楽しみやわ〜」
名前も知らないが、あそこにいた人達はみんなおっちゃんって呼ぶと大層俺と津美紀をかわいがってくれた。
『ただいまぁ〜』
やっと、Aさんが帰ってくると
居間にいた人が1度ちゃんと立ち上がって礼をする。
「ご苦労さんです！！」
「Aさん！！！どうしましたか！？その顔！」
「えっ！鼻血！！」
『あぁ、ちょっとな。だいじょうぶ…顔面からいってん。今和也が取り込んでる』
氷袋とティッシュを俺が持って行く
「というか、和成さんもこっちきてたんですね」
ここにきてから、また新しい名前を聞いた。
『和成は、私のお兄ちゃん。そのうち会えると思うで、いてて…あいつらあほちゃう…鼻折れとんちゃんこれ』
「鼻折れるの？」
『折れる折れる。歯も折れてもたかなぁ…歯医者いかなあかんやつかも』
ごめんな、ふたりとも私今日先に寝るわ。
そう言って部屋に戻ってしまった。
だけど。寝るとか言ってたAさんが
縁側にいた。
また鼻血を出して。
「…明日、生姜焼き食べたい」
『わ、びっくりした。なにも夜中に言わんでも…生姜焼き？好きなん？』
「うん」
『じゃぁ生姜焼きにしようか、今日は寝れんかったん？』
「寝れんかった」
『そかそか、ちょっとだけ夜更かししてもええよ』
「鼻血止まる？」
『全然止まらへんなぁ』
たまにこうしてAさんと夜更かししていた時間が懐かしい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lerian | 作成日時：2023年1月12日 1時
