なんら変わらない ページ4
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「ねぇ、あの人誰の親御さんかしら?」
「なんか……2人とも若いわね……」
運動会、サングラスをかけたAさんと、
いつもよりラフな格好をした眞矢がいた。
暑いのにカーディガンを着ている理由は
腕の刺青を隠すため。
2人の首にはちゃんと保護者証がかかってた。
今その写真を見ると、似合わなすぎて面白い
どう考えてもカタギに見えない
正直言うとAさんもほぼギャルだったし
「おい恵、お前の親こねーのかよ」
「べつにいいだろ」
「お前の親1回も来たことねーじゃん!」
この頃の俺から俺は口より手が先に出る奴だった。
だけど、この時ばかりは手を出さなかった。
『まって恵おったわ、やっぱりここのクラスやん、誰?5組とか言った奴』
「津美紀のクラスと間違えてましたわ」
恵ごめんな〜遅れて。
って言いながら俺の首に冷却タオルを巻いた。
「つめたっ!!!」
『ちょっとだけな、熱中症なってもたら後がしんどいんよ。今日暑いからなぁ、水筒のお茶無くなってない?半分凍ったお茶持ってきたで』
Aさんは完全に周りの母親と同じようなことをしていた。それは全然不快じゃなかったが、俺にとっては初めてのことで少しどうしたらいいのか分からなかった。
眞矢がPTAのリレー出るらしいから応援しようということを伝えに来たらしい。
「え…眞矢走れるの?」
「安心しろ、俺バスケ部やったから足速いんや。そこら辺のアラフォージジイなぎ倒したるからな俺はまだピッチピチの22歳や」
『まぁ、こいつグレて半分以上学校行ってないねんけどな』
周りの目を気にせずこうやって
俺と話をしていたAさんや眞矢を、
今思えば凄いと思う。
境遇、今まで俺は同級生に何か言われることは当たり前で、それは親から噂されることも同じだった。
勝手に同情してきて、
手を差し伸べるわけでもなく憐れむだけ。
まぁ、俺が手を出せば、
親がいないからだとか手のひら返すわけだけど。
2人とは
親子関係ではなかったけれど
それとなんら変わりなく
いい関係を気づいてくれていた
『お疲れ〜津美紀と2人で待ってたで〜』
そう言って待っていた。
『恵顔どろんこやん、眞矢拭いたって』
「お弁当すご〜い!」
「すごい」
「神田さんの手作りやで、俺はおにぎり丸めた」
「眞矢くんのおにぎりまんまる」
「…下手くそ」
『ふふっ!!言われてんで』
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作者名:Lerian | 作成日時:2023年1月12日 1時