救われていた人 ページ11
□
「ヤッホー恵くん。最近どう？」
学校帰りいきなり話しかけられた。
五条さんだ。
「楽しい」
この頃の俺は、すっかりあの家に慣れ
家にいることが楽しかった。
自分の家はあそこだと思える程
「あ、ほんと？」
「家の人、みんなやさしい」
「そりゃよかったねぇ」
いつものおちゃらけたムカつく五条さんはその時いなくて。
なんか落ち込んでるような、気分だったのか
空気は重い
『悟かよ、恵拉致ったのは』
「言い方が失敬な」
「…Aさん。それだれ？」
『じいちゃんに会わして欲しいらしくて連れてったるとこ』
「連れてくとかの次元超えてない？」
『まぁ、恵はこんな悪い大人になったらあかんで』
本んまに、本家から一回兄さん呼んんでもらおうかな。って
「お兄ちゃんは、和也？」
『そうそう、よう覚えとんな？双子やけど全然似てないお兄ちゃんな。前ちょっと見たやろ』
誘拐された時に来てくれた人だ。
「顔は似てないけど、イカれ具合はAの上位互換」
『確かにイカれ具合はほんまにやばい、あいつ呪術師やったら多分真っ先に死に急ぐでな』
てか、恵。今日若い子らにはよ帰ってくるって
約束してなかったっけ？と言われる。
「あ、いっしょにゲームするって言った」
ほんなら、はよ帰ろうか。と
「帰る家があるっていいね」
ぽつりと言った五条さんの言葉をAさんはキャッチした
『えぇ？なにどうしたん。破門されたんか。暇なんやったらうち来たら？』
「いや、いいよ。今は休みたいからさ」
『ほんなら休みに来いや、家におる人らあんたが呪術師とか知らへんから』
自分のことを知らない人しかいない。というのは
時に助けになったりするんだな、と知った。
「ねぇ、恵。Aって優しいよね」
「うん、優しい」
五条さんだって、Aさんに救われていた。
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作者名：Lerian | 作成日時：2023年1月12日 1時
