普通ってなんだ ページ2
□
『んじゃ、恵と眞矢。いっしょに風呂はいっておいで』
「え、俺ですか」
『1番若いのあんたやん。恵も多分1人で入れるやろうけど溺れたりコケたりしたら大変やから見たって』
眞矢。
Aさんより年上だけど、
Aさんに敬語を使っていた。
「……でか」
もはや大浴場だった
「ここ色んな人出入りするからな」
真っ裸でシャワーを頭から俺にかけてきた。
「あれ、泣かんのか」
「水嫌いじゃない」
「俺は水めっちゃ嫌いやったから、偉いな」
眞矢は金髪で、ぱっと見た感じは
極道味を感じられなかったけど、
眞矢の背中には、でかい虎のタトゥーがある。
腕にも長袖を着ないと隠れない程。
「なんで背中に虎描いてんの」
「んぁ？」
「落書き取れないのか？」
「これタトゥー言うねんで。彫っとるから取れんねん」
「背中に穴開ける？」
「くっ……、ちゃうちゃう、恵ももうちょいおっきなったら分かるよ。恵もおっきくなったらここら辺に彫ったらええんちゃう？似合うと思うわ」
眞矢はガタイ良いし、耳もピアス空いてるし
怖いなって思ってたけど、
頭洗ってくれたり、背中流してくれたり。
あぁ、兄貴いたらこんなって感じかなって思った人だった。
実際兄貴のように思っていたし。
『あーごめん2人とも！！これあんたらに渡すん忘れとった！！！』
「投げるん危ないんでやめてください、そんでAさんモラル無いんですか？俺ら何も着てないんですよ」
『今更裸見るだけで気にせんやろ、はい！ゆっくり入ってきてええからな！！津美紀と私今から入ってくるわ！』
Aさんが投げてきたのは二本に折れるアイス。
それも今思えば新鮮なものだった。
「風呂2つあんの？」
「風呂2つあるな」
普通に風呂に入ることが楽しみで、特別になった日だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lerian | 作成日時：2023年1月12日 1時
