名前 ページ6
年は7、8歳と云った処だろうか。
否、実年齢はもう少し上かもしれない。
貴「まともな扱いを受けていなかったんだろう」
痛い事しないで、とも殴る?とも云っていた。
ストレス発散のサンドバッグにでもされていたのか。
御免なさい、だけはっきり云えたのもその所為だろう。
酷く怯えて苦しみ藻掻く姿は哀れで、
貴「…随分と可愛かったな」
はぁ、やはり私は歪んでいる。
ーー
少「………ん…」
貴「おや、起きたね」
読んでいた本に栞を挟んでパタンと閉じる。
机に置いて、椅子から立ち上がった。
寝台に近付くと、びく、と肩を震わせた。
掛け布団を、ぎゅ、と強く握っている。
少「あ…ぅ…」
貴「怖がらなくて良い」
優しく頭を撫でてやると、握る手が少し緩んだ。
貴「先ず、君の名前だが…゙治゙っていうの、どうだい?」
少「…お、さぅ……」
貴「そうそう。君は治だ」
何が珍しいのか、自分の名前を繰り返して口にする少年_否、治。
貴「治、君と一緒に住むに当たって3つルールを決めよう」
ぴっ、と人差し指を挙げる。
貴「1つ、私は君の嫌がる事は絶対にしない」
いまいちピンと来ないのか、幽かに首をかしげる治。
貴「殴ったりしないって事さ。
そして2つ、嫌いな事やモノがあれば首を振ること」
トラウマによる発作を防ぐ為だ。
可愛いには可愛いがそれ以前に私は医者だ。
此方は理解が及んだのか、浅く頷いた。
82人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんこ入りのよもぎもち。 | 作成日時:2021年9月23日 11時