出会い ページ2
貴「暇だ…」
指先でクルっと万年筆を回す。
最低限の物しか置いていない診療室の大きな椅子で、くぁ、と欠伸をした。
貴「こうも暇だと体に苔でも生えてきそうだな」
無駄に大きい入院病棟に、患者なんて一人も居ない。
当たり前だろう、闇医者の処に沢山患者が居る訳がない。
まして此の森の奥じゃあ、態々此処まで来る方が可笑しかった。
貴「一家代々闇医者なんて、誇れる物でもないだろうに」
はぁ、と溜め息を溢す。
両親の死に際、病院は頼んだ、なんて云われた物だから引き受けてしまった。
其れに此の病院は普通じゃあない。
なんてったって、
精神病院
なのだから。
普通の怪我や病気だってある程度は診る事は出来るが、私の専門は精神科、心理科の類いだ。
貴「まぁ、人が寄り付かないのは私の性格も禍しているか…」
私は元来、弱っている人間を見るのが好きだ。精神的になら尚更。
だって物凄く可愛いじゃないか。
可愛いものを愛でて、あいして、何が悪い。
貴「…否、相当狂ってるんだろうな、私は」
そう呟いたとき、とんとん、と診療室の扉を叩く音がした。
珍しい事もあるものだ、と思い乍扉を開ける。
其処には、見知った白衣の男と何やら白い襤褸を纏った蓬髪の少年が居た。
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作者名:あんこ入りのよもぎもち。 | 作成日時:2021年9月23日 11時