雛114匹:怒 ページ20
蔑むように冷たい目で彼等を見つめた。
なにがあったかはよくわからない。でも、私が繋いだ少女への縄は他の奴のようには容易に切れなかったらしい。怒って反撃し気絶させられたのか知らないが、起きたとき白目をむいた人間が転がっていて驚いた。
「人を殺せば、好きな夢をみせてもらえる…から?」
「ええ」
「…なに、それ……」
俯いた少女の刀を握る手が震えていた。
そりゃそうだ。私欲のために他人の命を手にかけようとしたのだから。今すぐ手に握るその刀で私の首を吹き飛ばしてもおかしくない。
もともと、私はわかっていた。私は小さい頃からなにをやってもダメだったから、家族は食うだけの私を捨てたんだってこと。
それでも現実を直視したくなかった。でも気付くのも時間の問題だった。
あの優しかった両親が戸口で泣き崩れる瞬間だけが、私の淡い期待をつくっていたのだから。
そして、いとも容易く、その期待は打ち砕かれた。
(…馬鹿みたいだ)
そう思ったとき、目の前から、糞野郎。という言葉が聞こえた。と思うと、次は強く右足で床を踏み込んだ。予想以上の力に圧倒され、体が引ける。
「ふざけんな」
「…」
「人の弱味につけ込んで…ほんと鬼って性格腐った最低野郎なのね!!!」
「…は?」
はじかれたように顔をあげた。
「あいつら人間を塵屑だと思ってるんだわ!!だからそんな舐めた真似ができるの!!あぁ腹立つ!!!」
「…は、ぁ?」
口をぽかんと開ける。
もー!と地団駄を踏み込む彼女は、はち切れそうなくらいに強く刀を握っていた。
その刀は、その怒りは、私を殺すためにあるものだも思っていた。
けれどもちがった。彼女は、ここにいない鬼に対して怒っている。
「ほんと嫌な奴ね。頭すりつぶして藤漬けにしてやろうかしら」なんて言っている少女をじっと見ていれば、視線に気付きこちらへ近付いた。
「安心して。今頃そいつら、私の仲間がぶち殺してるから」
「…はぁ」
「とにかく理由はわかった。他の人がなにしてようと私が言い訳するから。人殺しさえしてなければ、ぎりぎり怪我で通せるだろうし」
「…は…?ちょ…ちょっとまってよ…」
真っ直ぐ見つめる少女に、気圧される。
「…庇う気?私達を?そんな同情と悲観まみれの感情で…?そんなの私としても全然よくないし…あんた馬鹿なんじゃないの…?」
676人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂糖しぁっ。(プロフ) - うささる@さん» なんと!夢主ちゃんも応援してくださるのですね…!?コメントありがとうございます!空いた時間で更新していくのでよろしくおねがいします!! (2020年2月23日 9時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - おもちさん» わぁぁこちらこそぉぉ。なんかチャットになりつつあるかなぁと私の自己判断でしたことで…すみません。ゆっくり更新するので気長にお待ちくださいー。 (2020年2月23日 9時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
うささる@(プロフ) - 先が気になります!主ちゃんも砂糖さんも応援しているので、自分のペースでがんばってください!! (2020年2月23日 8時) (レス) id: 12e32336a9 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - お話を読み返すのも楽しいので無理しないで下さいね?応援してます(*^^*) 間違えてたらすみません、前のコメントで不適切なことを書いてしまったかなと思いまして、、もしそうなら申し訳ないです。 (2020年2月23日 7時) (レス) id: 203d84a786 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - おもちさん» なにせ裏表の激しい子ですから…。とくに人が見ていなければ言っちゃうもんですこの子は…。なにせ頑固な子ですから……))そんな夢ちゃんですがこれからも暖かく見守ってやってください (2020年1月28日 0時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:砂糖しぁっ。 | 作成日時:2020年1月13日 17時